スタッフはみんな女性。初めての映画撮影で感じたこと

セーターは1年ほど前に買ったフレンチコネクション。デニムは、スウェーデンブランドのJCを愛用。ドクターマーチンのブーツからのぞく靴下のドクロモチーフに、エリカのDNAに宿っているバイキング精神をひとさじ。美容法もシンプルで、乳液を使うだけ。たくさん水を飲み、夜9時には寝て、朝7時に起きるそう

――そして、女性モデルとしてもハイ・ファッションの世界でブレイクしたわけね。

「本当にルイ・ヴィトンのおかげだよね。デザイナーのニコラ・ジェスキエールは、強い女性像が好きなんだ。ヴィトンのショーには2年間、独占出演した。大御所フォトグラファーたちと雑誌やルックブック、広告の撮影もした。すごくラッキーだったと思う」

――そんなにモデル業がうまくいっていたのに、なぜ映画と演技の世界に飛び込んだの?

「モデルの仕事がしっくりこなくなってきちゃって。でも女優になろうと考えたことは一度もなかった。ある日、事務所から電話をもらって、それが映画『アンダー・ハー・マウス』のことだった。かなり生々しい内容の脚本だったけど、すごく感動したし、真のラブ・ストーリーだというところも気に入った。だからこう言ったの、『オーケー、やってみます』って」

――主役を演じるために、どんな準備をした?

「これは私にとって初めての映画。今までに台本を読んだことも、演技をしたこともなかったけど、演技のレッスンを受けたりしないでほしいと言われた。私は故郷スウェーデンに帰って、自分のルーツに立ち戻り、あらゆる人や物事から距離を置いて過ごした。モデルの仕事もせずにね。私が演じたダラスと私自身は、まったく違う人物。だからダラスという人間を理解するために、まず自分自身と向き合う必要があったんだ。この映画のストーリーは、人生そのもの。他の映画もたくさん観たよ。『ブルーバレンタイン』(’10)のような、作りもののお話というより人生そのものみたいに思える映画をね。そして、脚本家や監督とずいぶん長い時間をかけて話し合い、指導してもらった」

――ファッションの世界で、男性モデルや男性フォトグラファーに囲まれて仕事をすることと、映画の世界で女性キャストや女性スタッフと仕事をすること。本質的な違いは何だった?

「ファッションは女性の世界だって思っている人が多いかもしれないけれど、実際にはファッション業界も映画業界も男性が支配的な世界だよね。今回、女性だけでこの映画を作ったのは素晴らしい試みだったと思う。機材担当者や照明、監督まで全員が女性なんだ。ヌードも性的なシーンも多い映画だけど、撮影現場にいる間、私はいつも守られているような気分だった。この種の映画の大半は、男性によって、男性の視点で作られるから、とてもセクシュアルなものになってしまう。だけど今回の映画は、ロマンティックな色合いが強くなったと思う」

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着たい服はどこにある?
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