2020.03.05

Part.2 未来に残したい服

心を動かされたファッションは、できることなら100年先にも伝えたい。モード好きが夢見る気持ちを後世につなぐのは、彼女たちを感動させた服。

プラダ 「ポロニット」

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シンプルなポロニットが、着る人の内面的な魅力やスタイルを映し出す。上質なシルク混カシミヤ。トップス¥129,000(予定価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ)


スタイリスト【飯島朋子さん】

「今シーズンのプラダは、静かにハッとさせられる、繊細さと意志の強さを感じるコレクションでした。私自身がまさにそうであるように、2020年の憧れの女性像を伝えるアイテムが、後世に伝わるアーカイブになってほしいです」

セリーヌ 「フレアデニム」

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ジェーン・バーキンをイメージした、その名も"ジェーンフレア"。ウエストのマイヨン トリオンフのシグネチャーも特徴的。デニムパンツ¥95,000(予定価格)/セリーヌ ジャパン(セリーヌ バイ エディ・スリマン)


スタイリスト【丸山佑香さん】

「未来を描いた映画『her/世界でひとつの彼女』(’13)の衣装で、あえてデニムを使わないという考えに興味を持ちました。でも私は、普遍的な形のデニムが、100年後も変化しながら残っていってほしい。過去にも未来にも目を向けて、常に進化を続けているのがエディ・スリマン。セリーヌのデニムこそ、最先端だと思います」

ジル サンダー 「カラーレスコート」

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襟のないシングルボタンのミニマルデザイン。日本で染色したウール糸で織られた生地を使用した、テーラーメイド。コート¥288,000/ジルサンダージャパン(ジル サンダー)


スタイリスト【田畑アリサさん】

「着たときのシルエットと軽やかさが大好きなジル サンダーのコート。どのシーズンも必ず心から欲しいと思うものがあるんです。この感動は、100年たってもきっと色褪せないはず。今シーズンこそ、私も手に入れたいです」

ザ・ロウ 「ドレープドレス」

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手作業でつなぎ合わせたウエストのアシンメトリーな切り替えが、全体の柔らかなドレープの軽やかな曲線美を際立たせる。ドレス¥423,000/ザ・ロウ・ジャパン(ザ・ロウ)


スタイリスト【佐藤里沙さん】

「一見それほどデザインされていないようで、実は究極に作り込まれているのが魅力的です。テーラリング、カッティングともに、このドレスはザ・ベスト。100年後を生きる女性たちにも、強さと自信をくれる洋服だと思います」

ノワール ケイ ニノミヤ 「ブラックコート」

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全体にオーガンジーで作られた花が敷き詰められ、袖口と裾からはボリュームのあるチュールが大胆に広がる。原型はトレンチコートながら、まったく新しい一着に。コート¥270,000/コム デ ギャルソン(ノワール ケイ ニノミヤ)


スタイリスト【山本マナさん】

「オートクチュールに魅了される感覚は、100年後にも残したいです。ノワール ケイ ニノミヤのコレクションは、繊細でアヴァンギャルドで、いつもオートクチュールを目にしたときのように心を打たれます。一着に魅せられる感動を、この先もずっと伝えていきたいと思います」

ユニオンランチ 「リネンオーバーオール」

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職人技術の継承を掲げて日本製でものづくりを続ける、ユニオンランチ。100年後も劣化しないリネン生地を開発し、ブランド定番のオーバーオールに落とし込んだ。オーバーオール¥69,000/サザビーリーグ(ユニオンランチ)


【編集T】

「100年間の経年変化の様子も楽しみなリネン生地というサステイナブルな視点がいいと思いました。素材や加工は天然成分に徹底的にこだわり、ヴィンテージリネンとして継承できるよう、手間暇かけて糸から開発されています。くたくたになるまで着て次の世代に引き継ぎたいです」

リトゥンアフターワーズ 「チェックパフスリーブドレス」

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ハリのあるサテン生地に、手描きのチェック柄をプリント。さまざまな体型の人の自由な着こなしを願いデザインされた、パフスリーブとフレアな形。ドレス¥63,000/リトゥンアフターワーズ


【編集K】

「昨年11月に上野で開催されたショー『AFTER ALL』は、心が震えるほど圧巻でした。特に目を引いたのがチェックのシリーズ。オーバーシルエットのドレスは体型も年齢も選ばない、民主的なところがいい。時の試練に耐え抜ける一枚です」

ボーディ 「刺しゅうシャツ」

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エミリー・アダムス・ボーディが手がけるメンズウェアブランド。伝統的な技術と刺しゅうを融合した一枚は、レトロなのにモダン。シャツ¥70,000/スーパー エー マーケット 青山(ボーディ)


【編集S】

「ヴィンテージ生地の再利用を『それがサステイナブルだから』という理由ではなく、デザイナーの背景から自然と導き出している無理のなさがいいなあと。末代まで大切にそのスピリットも含めて受け継ぎたいです」

アライア 「ティアードスカート」

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ひと続きのニットで表現された、立体的なティアードは、精巧なカッティングのなせる業。素肌がほのかに透けるセンシュアルな作り。スカート¥289,000/リシュモン ジャパン(アライア)


スタイリスト【影山蓉子さん】

「いつの時代にも愛されてきたデザインは、100年後の世界でもきっと変わらず好まれるはずです。女性たちが大好きなフリフリのスカートは、永遠の逸品であり続けると思います」

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