まだ出番のないサンダルで
早く街を闊歩したい
「物質的な片づけはもちろん、自分が本質的に好きなファッションについて考えることもできた時間でした。誰もが持っているようなベーシックなものにはあまり興味がないなとか、トレンドを追いかけたい気持ちがちょっと薄れてしまっていることに気づいたりも。そして何より、ちょっとユニークだったり、楽しませてくれたり、テンションが上がるものが大好きだということも再確認しました。そういった洋服はまさに不要不急なんて言われるかもしれませんが、私の生活にとっては、やっぱり必要不可欠なものなんです」
そんな影山蓉子さんにとって今、特に思い入れのあるアイテムは、買ったまままったく出番のなかった2足の靴。どちらも2020年の春夏シーズンの新作だ。
「空白の2カ月近くを経て季節も進んだこともあり、素足で楽しめるサンダルがこれからの気分かなと思って選びました。ボッテガ・ヴェネタのイントレチャートサンダル(中央・上)は、旗艦店で購入。シンプルですがデザインにポイントがあるところが気に入っています。個性的なデザインのワンピースに、さらりと合わせるのがいいかな。もう一足は、ザ・ロウの厚底のトングサンダル(下)。こちらは海外のショッピングサイトで買ったものです。履き心地もよくてカジュアルなので、思うがままにどこまでも歩きたい!という気持ちも込めて。今回、自宅のリビングの棚に靴を並べて撮影してみたんですが、実用的なアイテムなのにインテリアの一部のように家になじんでしまって。私の中では靴はファッションを完成させる重要なアイテムです。外出を自粛していた時間は、完成したスタイルでまた新たな日々を駆け抜けるための、準備期間だったと思っています」
photography: Masayuki Ichinose 〈W〉 edit: Kaori Watanabe