2020.09.20

牧野あおい/ブラック・ロマンス

「黒」から、想像の翼を広げて
黒がもつロマンティックで多様な力を表現したのは、漫画『さよならミニスカート』が注目を集める牧野あおいさん。「こんなに真剣に服というものを観察したのは初めてで、ちゃんとそのまま描いたつもりでも、よくよく見たら内側に謎のベルトがある! 普通のスカートだと思っていたのに形状が複雑すぎる! スーツにぱっと見分からないラインがある! と終始混乱。服はデザイナーさんによって、繊細にこだわり抜かれて作られているのだな、ととても当たり前のことを考えてしまいました。同じブラックでも、服のデザインやコーディネートによっても印象は変わります。また、描いていくうちに、生地の違いから光の反射の具合が変わり、その光の色がさらに『黒』のバリエーションを変えていることに気づき奥深いなと感じました。どんな女性が着るとこの服は映えるだろう?と考えるのがとても楽しかったです」。それぞれの服のイメージを膨らませ、4名の女性像に落とし込んだ誌面を、ぜひチェックしてください!

Profile

牧野あおい(まきの あおい)

10月23日生まれ。2008年に『りぼんスペシャル 春の大増刊号』 に掲載された「青のツバサ」(集英社)にてデビュー。代表作に『RECー君が泣いた日ー』『セカイの果て』(ともに集英社)のほか、話題の『さよならミニスカート』(集英社)は現在2巻まで発売中。

 

さよならミニスカート
学校に通う女子の中で唯一、あえてスラックスを履いて過ごしている主人公の神山仁那(にな)。その理由を、ある日クラスメイトの堀内光が気づいて……。連載開始時に「このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない。」とりぼん編集長の声明が添えられたことでも話題になった作品。既刊2巻。
セカイの果て
いじめから逃れ、都会から田舎に転校してきた中学2年生のあずさ。付き合っているのは、クラスのリーダー格である春日。その彼から執拗にいじめられている河口との出会いを経て自分も強くなろうと決意するが、そんな矢先、重大な事件が起こってしまい……。

牧野あおいさんが描いたのは...

photography: Jonas Gustavsson(runway)
GUCCI
繊細なレースがティアード状に仕立てられたドレスが主役。アイレットが配されたチョーカーなどを合わせ、パンクな精神も感じられる。「ミニ丈のワンピースがアイドルの衣装のよう!と思い、シンプルに可愛い女の子が着ていたら素敵だなと。当初は日本のアイドルをイメージしていたのですが、色を塗るうちにK-POPグループの女の子らしさもあるような気がして、鮮やかなメイクアップも足してみました」。ドレス¥595,000・チョーカー¥90,000・グローブ¥125,000・タイツ¥20,000/グッチ ジャパン(グッチ)
photography: Jonas Gustavsson(runway)
VALENTINO
「ジェンダーの流動性と包含性」を主題のひとつに掲げ、個人の人間らしさにフォーカスした今季。ジャケットは、象徴的なメンズのワードローブから着想を得つつ、センシュアルなインナーをチョイス。「ノーメイクアップの、素顔の女性がテーマです。今回の4ルックのうちもっともフォーマルな印象だったのがこちら。だからこそきっちりしたメイクアップにせず、あえて私の描く絵の女性は、ほくろもそばかすも隠さずそのままでいてもらおうと思いました」。ジャケット¥630,000・中に着たトップス¥90,000・スカート¥440,000(すべてヴァレンティノ)・ブーツ¥123,000(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)/ヴァレンティノ インフォメーションデスク
photography: Jonas Gustavsson(runway)
NOIR KEI NINOMIYA
チュール付きのジャンパースカートとトップスを覆うように、フェイクレザーのチューブで構築されたドレスを。靴は今季からスタートした、CHURCH'Sとのコラボレーション。定番のモデル、SHANONにスタッズを配した。「装飾としてのリボンはキュートなものだという印象がありました。ですが黒一色でこのように規則的にたくさん付属していると、まるで鎖や武装、鎧のようにも。リボンがかっこいいもののように感じられたので“強くて凛々しい女性”をイメージして描きました」。ワンピース¥175,000・中に着たトップス¥31,000・中に重ねたジャンパースカート¥62,000・靴¥117,000/コム デ ギャルソン(ノワール ケイ ニノミヤ)
photography: Jonas Gustavsson(runway)
DOLCE&GABBANA
ランウェイも“黒”に席巻された今季。オーセンティックなトレンチコートも、スリーブやボディなどがトランスペアレントになっており、センシュアルな空気感。「ロングコートでストールを巻いていて、一見とても上品なコーディネートかな?と。そう思いきや意外と肌が透けていて、大胆さと意外性に驚きました。それを踏まえてテーマは“ボブヘアスタイルの大人しい女性が、突然金髪になってやってきた”です(笑)。意外性がある女性は素敵です」。コート¥263,000(予定価格)・ブラトップ・ショーツ・スカーフ・靴(参考商品)/ドルチェ&ガッバーナ ジャパン(ドルチェ&ガッバーナ)
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