坂本眞一/モードは、時空を超えて

18世紀のキャラクターが現代のモードを華麗にまとう
18世紀の華麗なるベルサイユとフランス革命、それに関わる処刑人の一族を描いた『イノサン Rouge ルージュ』の世界から、美しきキャストたちが現代のモードをまとったら? 坂本眞一さんは今回のテーマを描くにあたり、こう考えた。
「『イノサン Rouge ルージュ』の舞台は18世紀ですが、悩みや葛藤などの感情は、現代を生きる読者も共感できるよう意識して創造してきました。彼らがまとうレースやフリルがファーやレザーに変わろうとも特に違和感なく描くことができました。マリー=ジョセフ・サンソンを始め、みんなが”何か問題でも?”と言いたげに見えます」
ジェンダーも時間も超越したハイパーモードな夢の共演。各人物がまとったルックにつき、坂本さんがどう感じたか、誌面を見る前に本記事でチェックしてください!

Profile

坂本眞一(さかもと しんいち)

1990年『週刊少年ジャンプ』でデビュー。2010年『孤高の人』(集英社)で第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。精密かつ壮麗な画力と構成で18世紀のフランス革命時代を描いた 『イノサン Rouge ルージュ』(集英社)が今年完結。

 

イノサン
18世紀のフランス。パリで死刑執行人を務めるサンソン家のシャルル=アンリ・サンソンは苛酷な運命に葛藤しながらも、気高く立ち向かう。怒涛の歴史大河が幕を開ける。
イノサン Rouge ルージュ
パリで死刑執行人を務めるサンソン家の兄シャルルと妹マリー。物語はついに「フランス革命」へと突入。型破りな女性マリー、ジェンダーを超えた美しさを誇るシャルルをはじめ、魅力溢れるキャラクターが歴史を彩る。
孤高の人
孤独な青年、森文太郎。転校してきた初日、クラスメートにけしかけられ死と隣り合わせに校舎をよじ登る。そのとき得た「生きている」ことへの実感から、クライミングへの気持ちを加速させる。

坂本眞一さんが描いたのは...

photography: Jonas Gustavsson(runway)
SAINT LAURENT
「美しいファーに近未来の光を映し出すラテックスパンツはまさに時の融合。18世紀の枠に収まらないマリーの生き方にフィットしているのではと思います。『イノサン』本編では絶対に存在しなかったラテックスパンツの質感はとても新鮮で、こだわって描きました」(坂本さん)コート¥1700,000・ブラウス¥180,000・レギンス¥100,000(参考価格)・ベルト¥72,000・ピアス¥75,000(参考価格)/サンローラン クライアントサービス(サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ)
photography: Jonas Gustavsson(runway)
MIU MIU
「ベルサイユ宮殿で、ロココのドレスに身を包み夜毎グラスを傾けてきた彼女が現代の洋服に袖を通すがの1番の見所ではと個人的には思っていましたが、違和感なく着こなしてくれました。普段遊び心を忘れない彼女だからこそでしょう。鮮烈なる赤い襟が彼女の持つ気品を引き立たせています」(坂本さん)コート¥560,000・ネックレス¥179,000・グローブ¥34,000(ともに予定価格)/ミュウミュウ クライアントサービス(ミュウミュウ)
photography: Jonas Gustavsson(runway)
DRIES VAN NOTEN
「本来、女性ではないシャルルがここに存在できているのは、常に世の中の先入観に疑問を投げかけてきたキャラクターだからこそ。美しさに男女の区別などいらないというメッセージを感じていただければ嬉しいです。気品のある艶やかな紫は信念を貫いてきた彼をより気高く魅せてくれました」(坂本さん)ドレス¥264,000・ピアス(参考商品)・バッグ¥68,000・ブーツ¥144,000/ドリス ヴァン ノッテン
photography: Jonas Gustavsson(runway)
JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS
「ゼロは混沌と血の雨の降りしきる革命の最中でも笑みを絶やすことのなかった精神の強いキャラクター。どんなルールにも縛られない遊び心のあるファッションはとてもよく似合っていると思います」(坂本さん)ジャケット¥110,000・ワンピース¥190,000・タイツ¥10,500/コム デ ギャルソン(ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン)
FEATURE
HELLO...!