「アイコンである作庭家の重森三玲とテキスタイル作家のアニ・アルバースは、今から30年以上前に活躍したアーティストです。今見てもとてもモダンに映るのがすごい。二人の作品が持つ、時代を超える美しい佇まいに心惹かれます」。 佐藤里沙さんは、そんなアーティスト作品に対峙するように、洋服とも向き合う。「たとえばザ・ロウのアイテムには、普遍的でありながら他のブランドにはない洗練されたムードがあります。それは、一見ミニマルなデザインの中に、緻密に計算されたバランスがあるからではないでしょうか。そして、着る人を決めつけない美学がある。そこに、時代にとらわれない魅力を感じます」。 佐藤さんの中で強く印象に残っている言葉のひとつに、フィービー・ファイロの「Less is More」がある。「『少ないことは豊かなこと』という理念に衝撃を受けました。引き算によって余白が生まれ、私たちに考える余地を与えてくれる。その奥深さに感覚的に引き込まれるのだと思います。たとえば重森さんの庭を見ていると、そこに小さな宇宙を感じる。ものの持つ静かなパワーに、日々刺激を受けています」