時を経てもアヴァンギャルドでモダンなスタイル/佐藤里沙

「アイコンである作庭家の重森三玲とテキスタイル作家のアニ・アルバースは、今から30年以上前に活躍したアーティストです。今見てもとてもモダンに映るのがすごい。二人の作品が持つ、時代を超える美しい佇まいに心惹かれます」。
佐藤里沙さんは、そんなアーティスト作品に対峙するように、洋服とも向き合う。「たとえばザ・ロウのアイテムには、普遍的でありながら他のブランドにはない洗練されたムードがあります。それは、一見ミニマルなデザインの中に、緻密に計算されたバランスがあるからではないでしょうか。そして、着る人を決めつけない美学がある。そこに、時代にとらわれない魅力を感じます」。
佐藤さんの中で強く印象に残っている言葉のひとつに、フィービー・ファイロの「Less is More」がある。「『少ないことは豊かなこと』という理念に衝撃を受けました。引き算によって余白が生まれ、私たちに考える余地を与えてくれる。その奥深さに感覚的に引き込まれるのだと思います。たとえば重森さんの庭を見ていると、そこに小さな宇宙を感じる。ものの持つ静かなパワーに、日々刺激を受けています」

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重森三玲は、20世紀を代表する作庭家。京都の重森三玲庭園美術館(右上写真)や光明院など、現在までモダンな作品の数々が残っている。アニ・アルバースはバウハウス出身のテキスタイル作家で、ニューヨーク近代美術館などの名だたるところに作品が収蔵されている

YUKA SETOの植物のオブジェ

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3ピースの植物をあしらったオブジェ。「数ある中からたった三つのオブジェクトで構成する潔さに感動。設けられた"間"に、独特の空気を感じます」

フィービー・ファイロ時代のセリーヌのコート

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「全世界の女性をとりこにしたフィービー・ファイロ。この一着こそ、時代に関係なく一生ものとして着たい!と手に入れました」

ガブリエラ コール ガーメンツのシャツジャケット

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「シーズンではなくシリーズで発表しているブランド理念が素敵。同じ型を毎回さまざまな素材で打ち出していて、これはロロ・ピアーナの生地を使用した一枚」

ウェンデルボーンのセットアップ

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デザイナーのケイト・ウェンデルボーンのファンだという佐藤さん。「"作りたいものだけを作る"というマインドに共感。彼女の新しいブランド『KGW』にも注目しています」

ザ・ロウのバッグ

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内ポケットまでそぎ落としたミニマルなバッグ。「そばに置いておくだけで、まるで美しい建築物を眺めているような気分に」

ザ・ロウのホワイトデニム

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「太筒のシルエットは、ルーズでありながらも端正さを保っています。二面性を持ち合わせるバランスに感服です」

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コレクションする偏愛アイテム

大ぶりなイヤリング

シンプルな着こなしが多いため、アクセサリーは大ぶりなものを取り入れてスタイリングのアクセントにしている。「テーマ性のあるものや曲線的なデザイン、モチーフものをよく購入します。さらに、大きなイヤリングは片耳だけ、というのがマイルール。左右で大小差をつけるのが、自分の中でちょうどいいバランスになっています」。パンコネシのフープピアスはイヤーカフとしても使用可能。ハートモチーフの一品はピーター ドゥのもの。「カラーには特別こだわらず、シルバーもゴールドもミックスして楽しんでいます」

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