1950年代後半から60年代にかけて、写真家のカールハインツ・ワインバーガーが写真に収めたドイツの若者たち。デニム・オン・デニムをはじめとするベーシックな装いに、リーゼントヘア風のヘアスタイル、そして大ぶりなチェーンアクセサリー。一筋縄ではいかない彼らの着こなしこそ、まさに飯田珠緒さんの"核"となるスタイルだ。 「普段着用しているアイテムは、Tシャツやデニム、ジャケットなど、スタンダードなものが多いです。でも、それだけだとつまらなく見えてしまう。そこで、いつもスタイリングのどこかに必ず"壊す"要素を加えています。たとえば、カジュアルな装いの日には、足もとにあえてドレッシーなロジェ ヴィヴィエのパンプスを合わせてみる。あるいはパンキッシュなピアスをつけるなど。そうすると、着こなしがいい意味で崩れて好みのバランスになるんです」。 この感覚は、日々の仕事にも通じているという。「ビジュアル作りでも、ただ"可愛い"を作るのではなく、そこに毒っ気を入れるなど、"壊す"行為は忘れません」。ほんの少しのズレが生むウィットと奥行きが、飯田さんのスタイルを形作っている。
カールハインツ・ワインバーガーの写真集『REBEL YOUTH』に収録されたドイツのユースたち。アメリカの文化を崇拝した若者は、装いをもって社会への反逆精神を表現した
シャネルのヴィンテージジャケット
一着は欲しいとかねてから思っていたシャネルのジャケット。好みのネイビーカラーと運命の出合いを果たし、即決したという。現在は販売していないヴィンテージ品
トムウッドのコインネックレス
コインネックレスは、レングスの異なるものを重ねづけするのが定番
メゾン マルジェラのメンズのデニムシャツ
メンズのアイテムを購入することも多い
メゾン マルジェラの白Tシャツ
「この白Tシャツは名品です! 微妙な襟のあき具合など、素晴らしいあんばい」
ヒリヤー・バートリーのクリップピアス
イギリスのデザイナーが生み出す、パンキッシュな雰囲気に目がない
トムウッドのデニム
Y2Kの影響で最近はき始めたという一着。「大きめのサイズを腰ばきしています」。ベーシックな着こなしも、時代に合わせて少しずつアップデート
ロジェ ヴィヴィエのパンプス
ゲラルド・フェローニが作るロジェ ヴィヴィエのファンだという飯田さん。「シックでエレガントかつ、彼のユーモアや世界観が詰まっている。このパンプスは、キラキラ光るラインストーンと、少し大きすぎるくらいのバックルが絶妙」
セリーヌのトリオンフのバッグ
ラフな装いにもマッチするトリオンフのバッグは、シックな表情。いつも愛用しているお気に入り
パコ ラバンヌのバッグ
パリコレクションに行くタイミングで買い足したバッグは、ジュエリー感覚で
コレクションする偏愛アイテム
音楽Tシャツ かつてパンクロックをこよなく愛していた飯田さん。コロナ禍以前は、ライブ目当てに足繁く海外を訪れていた時期もあるという。会場でいつもチェックするのが、Tシャツだ。「好きなミュージシャンのライブに行って、デザインが可愛ければ購入します。どこへ着ていくわけでもないのだけれど(笑)。集めているというより、気づいたら増えていた感覚です。海外に行ったときには、お土産代わりに購入することも。いわば記念品ですね」。GEZANやトム・ヨーク、THE ROLLING STONESのものなどを所有している。