ファッションの夢をぎゅっと詰め込んでいるけれど、着る人の身体やムードにしっくりとなじみ、日常で取り入れてみたいと思わせてくれる。山本マナさんのスタイリングにはそういう唯一無二の威力がある。
「大人のファンタジーってすごく難しい。ただガーリーで浮世離れしているだけではダメで、毒っ気もモード感もかっこよさも必要です。上辺だけにならないよう、単なる夢で終わらないように、自分自身で購入して袖を通します。自分の身長や体型で、どういうふうに着こなせば実際に街で楽しめるのか、というリアリティとのバランスを見極めることは、とても大切だから」。
自身にも影響を与えたティム・ウォーカーが作り出す夢の世界観は、「今も1カ月後も、きっと10年後も変わらず人を笑顔にするパワーがある」と語る。
「彼はダークで毒っ気のあるファンタジーも得意。そこにインスパイアされて、今回は愛用している黒のアイテムを多めに選びました。買い物の基準は、着て気分が上がるかどうか。ひと目惚れして即決することも多い。と同時に頭の中でどんなスタイリングで着るのか、その場で思い浮かべていますね」
ティム・ウォーカーは幻想的なビジュアルで知られる英国生まれのフォトグラファー。「2012年、ロンドンのサマーセットハウスで開催された展覧会で、感動して泣いてしまったんです。目で見て一瞬で伝わる夢のある世界観に、スタイリングもこうあるべきだと改めて思えました」
アシッシュのスパンコールショートパンツ
アシッシュらしい総スパンコールのショートパンツはセットアップで購入し、各々でスタイリングして着ることが多い。「こちらはざっくりしたニットと合わせたい」
オフホワイトのリボンサンダル
「今季のもので、最近買いました。足を入れたときに立体的なリボンがとびきり映えます」
ケイタ マルヤマ×フェルメリストビームスのスカジャン
「メンズっぽくないスカジャンが好き。サーカスモチーフも夢があり、常に気になるもの」
コム デ ギャルソンのぬいぐるみ
遊び心のあるキャラクターも好きで、このアイテムはその延長線上にある。「顔がなくて全身真っ黒。大人のぬいぐるみですよね」
シモーン ロシャのスパンコールトップス
ピンクのワンピースに重ね、カジュアルに着るのが気分
チョポヴァロヴェナのブラウス
ロンドンのドーバー ストリート マーケットで購入。ジャストサイズは在庫切れで、2サイズ上を購入。「気に入ればサイズはあまり気にしません。ピッタリじゃなければ、それをどう着こなそうかと考えを転換します」
コム デ ギャルソンのキルティングコート
歩くと裾のフリルが大きく揺れてドラマティックなコート。「これもTシャツとデニムでカジュアルに着るのがポイントですね」
コレクションする偏愛アイテム
カジュアルなピンクバッグ
高級素材ではない、ナイロンやコットンのようなピンクのバッグは見つけたらすぐ買ってしまう。「"大人のファンタジー"ルックに合わせるのだから、たまにはちゃんと上質なレザーのバッグなども持たなければと思いつつ、やっぱりカジュアルなものが好きなんですよね。日頃、荷物も多いから使い勝手もいいんです」。ちなみにピンクは洋服ではなく、靴やバッグ、小物類で取り入れることがほとんど。「ペンや付箋、テープなどステーショナリーもますます集まっているし、最近はマスカラにもピンクを使います」