A この法廷ファッションをきっかけに「クワイエット・ラグジュアリー」の注目度がアップ。グウィネスにとって不名誉な裁判だったはずが、みんな魅了されちゃって、結果トレンドアイコンに! ちなみに無罪も勝ち取りましたとさっ。
アメリカの超人気ドラマ『メディア王〜華麗なる一族〜』の着こなしがトレンドを加速させた!
Z 『メディア王〜華麗なる一族〜』は、富豪一族の後継者争いを描いたアメリカ発の大ヒットドラマ。物語の面白さもさることながら、ウルトラ富裕層のキャラたちがまとう、上品で洗練された服が羨望の的に。でも、どこのブランドかはわからないから、放送後に巷のファッションラバーが謎解きするというのがお決まりになったというわけ。
A 2018年から放送が始まり、当時からキャラのファッションチェック記事はあったけど、人気が最高潮に達したファイナルシーズンと、グウィネスの法廷ファッションが話題となったタイミングが重なったんだよね。
Z ドラマの主役の一人である長女のシヴォーン・ロイは、政治コンサルタントという職業柄、テーラードスーツがシグネチャー。クールビューティな着こなしはフォーマルや仕事服のお手本にしたい! ちなみに次男のケンダル・ロイのワードローブもセンスが良いとすごく人気で、ケンダルを演じた俳優のジェレミー・ストロングは、グッチの2024SSコレクションのアフターパーティにも参加してた。
S 「クワイエット・ラグジュアリー」が今ここまで盛り上がっているのは、他にも理由があると推察。不穏な世界情勢や環境問題、さらにコロナ禍を経て変化してきた人々の価値観などが重なって、今季のブームに繋がったと思うんだよね。
ASさんの推察に賛成! そういう理由とも相まってこのブームに共感する人もいたはず。
「クワイエット・ラグジュアリー」がわかる3つのキーワード
S 「クワイエット・ラグジュアリー」ってざっくり言うと、①タイムレスなデザイン ②上質な素材とクラフツマンシップを感じさせる丁寧な仕立て ③ベーシックなカラーパレットの3つが軸に。このファッションスタイル自体はトレンドのキーワードとして名付けられるずっと前からあるもので、2013〜14年頃は「ノームコア」もトレンドになったことがあったよね。
Z それはブランドも然り。「クワイエット・ラグジュアリー」の代表的なブランドとも言えるザ・ロウのように、このスタイルを貫くブランドもあれば、今季ギアチェンジしてきたところもある。回る回るよトレンドは〜♪
A 今回のトレンドがランウェイで本格的なブームとなったのは2023-'24AWコレクションから。ということで、シンボリックなルックを早速チェックしましょ!
Z さっき、Sさんがキーワードに掲げた、時代に左右されない、タイムレスでベーシックなルックが多いね。
S ザ・ロウ(①)のウールツイル製のダブルジャケットのパンツスーツは、安定のミニマルデザイン。それが仕立ての良さとスリークさを際立たせていて、とにかく美しい♡
A プラダ(②)のダッフルコートは、ダッフルの良さを活かしながらも、美しいリーンなシルエットや深めのスリットなど、絶妙に小技が効いていて素敵。ごくベーシックなアイテムでありながら垢抜けっぷりがケタ外れ!
S それを成立させているのが、上質な素材とクラフツマンシップを駆使した丁寧な仕立て。「クワイエット・ラグジュアリー」の最重要ファクターであり、このふたつがなきゃ始まらないのよ!
Z ロロ・ピアーナ(③)が注目を集めているゆえんも、素材への徹底したこだわりがあるからなんだね。ご覧あれ、このカシミヤコートの優雅さを。
A エルメス(④)のルックも見て。レザーのしなやかさは、涙ものだよ。クラフツマンシップを宿すブランドが上質な素材で作る、本物オブ本物が「クワイエット・ラグジュアリー」の必須条件。エルメスなら、修理やメンテナンスまでお願いできるから、長く愛用できて結果的にサステイナブルだよね。 Z ベーシックなカラーパレットについては? S 2023-'24AWコレクションを見て思ったのは、とにかく全体的に黒が多い! 黒じゃないにしても、落ち着いた色が豊富で「クワイエット・ラグジュアリー」の影響もありそう。黒、白、グレー、ベージュなどのシックな色味が主傾向かな。
A ボッテガ・ヴェネタ(⑤)のルックのようなグレーでまとめたワントーンスタイルもわかりやすい。品格があって、色数は極めて少ない、ここもチェックポイントです!
セレブにも「クワイエット・ラグジュアリー」の波が来た? 気になるコーディネートをチェック!
Z 不滅のスタイルといっても、シルエットなどはマイナーチェンジされるだろうし、その時代に合う美意識が反映されているもの。セレブのリアルな着こなしから、「クワイエット・ラグジュアリー」2023ver.のポイントをチェックしよう!
S トップバッターは、ジェニファー・ローレンス(①)。ジェニファーは飾らない人柄とあいまって、こういうスマートな装いの印象はなかった。いい意味でガールネクストドア。
A 最近スタイリストがジェイミー・ミズラヒに変わり、プライベートもお願いしているのか、すごく素敵でつい見入っちゃう♡ アウターはザ・ロウ。ワイドパンツも見るからに一流品で惚れ惚れ。
S インに着たTシャツ、足もとはバレエシューズ、肩に巻いたニットもすべて上質そうではあるけれど、キメすぎていない! ジェニファーのお堅いわけでなく、抜け感のあるバランスが「クワイエット・ラグジュアリー」2023ver.だと思う。
Z ジジ・ハディッド(②)のシンプルな白シャツと、ゆったりシルエットの黒スラックスで成立させたコーデは、究極のミニマム。誰しもクローゼットに入れているアイテムだからこそ、仕立てや素材の良さでこんなに違いが出せることがわかる見本だと思う。
A ジジも足もとはバレエシューズをチョイスしているね。
S よい目の付け所! 今季はプラットフォームやビブラムソールが主流ではなく、フラットに戻ってきている気がするんだよね。この変化は結構大きい。一番多いなと思うのは、ローヒールパンプス。主張が控えめで、上品に見せてくれる。
Z ジジの場合も着こなしに抜け感あり。袖をまくったり、胸もとにジュエリーを重ねづけしたり、そしてキュッとまとめたヘアのバランスが絶妙で、お見事!
A ダコタ・ジョンソン(③)の着こなしも可愛い! クロップド丈のニットをインに着て、ワイドパンツをコーディネート。
S モノトーンのシンプルなスタイルだけど肌見せでヘルシー&モードに見せるテクニックは真似したいね。ジジやダコタが若い世代のリアルな気がする。
Z 大人枠からは、ケイト・ブランシェット(④)においでいただきましたよ!
S ケイトを入れたかったのは、主演映画『TAR/ター』で彼女が演じたキャラクターの着こなしが「クワイエット・ラグジュアリー」だったから。自立した女性が着ているファッションの宝庫のような作品だった。映画を離れても体現されていて、パンツスーツがお似合いです♡
Aさて、「クワイエット・ラグジュアリー」熱が程よく高まってきたところで、最後に今季、気になっている「クワイエット・ラグジュアリー」なアイテムについても、それぞれ教えてください。 Z ジェニファーやジジを見ていたらハンサムな着こなしの中にある、ひとさじのフェミニニティにときめいちゃった♡ ここしばらく、秋冬の足もとはジェンダーレスなデザインのブーツを好んでいたけれど、ギアチェンジしてみたい気分に。長年ウィッシュリスト入りしていたマノロ ブラニクのスエードのプレーンなミュールをお迎えしたい! Sちょうど最近、自分のワードローブを見つめ直して断捨離を決行したんだけど、“レス・イズ・モア”がいかに大切な精神かを痛感したんだよね。そんな時にPART1の「クワイエット・ラグジュアリーなアイテム20選」で紹介した、ロエベのダブルフェイスコートを見て、“これはタイムレスに愛用できる!”と確信。この冬に迎え入れる決心をしました。
A 2人とも素敵な買い物計画〜! 今思いきって「クワイエット・ラグジュアリー」なアイテムを購入すれば、これから先も長く愛用できて、マイ・ヴィンテージに育てていけるよね。私も、PART1の撮影時に出合ったロロ・ピアーナのファブリックを使用したガブリエラ コール ガーメンツのノーカラージャケットの素晴らしさが忘れられなくて。自分へのホリデーギフトに検討中。ぜひ、PART1の「クワイエット・ラグジュアリーなアイテム20選」もあわせてチェックしてみてくださいね!