南仏イエールで開かれた「ファッションと写真の国際フェスティバル」レポート、その2

通称“フェスティバル・ディエール”の楽しみの一つは、メイン会場であるヴィラ・ノアイユの歴史を紐解くこと。ここでは’20年代後半〜’30年代前半の家具や写真などの資料が展示されています。そしてグラフィカルなインテリアを今回カラフルにひきたてたのは、ファッション業界で引っ張りだこのフロリスト、ドゥボーリューでした。
ファッション部門のコンペティションではグランプリのほか、二つの賞が設けられています。今回その両方を獲得した話題のデュオが、ヘルシンキのアールト大学卒、“自給自足”ファッションを目指すハンネ&アントン。彼らのボヘミアン&クラフトなメンズ・コレクションが、まずは審査委員賞に輝きました。そしてクロエ賞も、彼らの手に。これはそれぞれのファイナリストがメイン・コレクションとは別に、フェスティバルのスポンサーの一つ、クロエのためにつくったウィメンズの作品から選ばれるものです。

また、2年前にさかのぼって過去の受賞者のその後の発展を追うパートが、ザ・フォーマーズ。賞の特典として、毎年ただひとりのグランプリ獲得者には、メインスポンサーの一つであるシャネルからの支援が提供されます。“支援”とは、シャネルが抱える刺繍のルサージュやプリーツ加工のオニオン、羽根細工やコサージュづくりのメゾン・ルマリエといった、一連の“メティエ・ダール”工房の協力。昨年の受賞者、アネリー・シュベールはこの恩恵を受け、ミ二マルで構築的なデザインをクチュールのディテールでひきたてたコレクションで、成長ぶりを見せてくれました。
写真部門のファイナリストたちの展示を含むいくつかの展覧会は、5/22まで開催中。

また6/23発売の本誌8月号では、ファッション部門のファイナリストのうち、4人の日本人について詳細をお届けします。http://www.villanoailles-hyeres.com/fimph2016/

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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