ジュエリーデザイナー、サビーヌ・ゲッティの世界

SPUR8月号「ゲッティ家の華麗なる女たち」で紹介したジュエリー・デザイナー、サビーヌ・ゲッティは、かのゲッティ・イメージ創始者のご子息の妻。昨年夏にはスキャパレリ(Schiaparelli)のオートクチュールのドレスをまとったサビーヌのウエディングが、多くの媒体で報じられました。ここでは本誌の特集で紹介しきれなかった、彼女の世界観についてご紹介しましょう。Sabine Getty 最新コレクションのテーマ Memphis は、’80年代初期に一大ムーブメントとなったイタリアのデザイングループ。その大胆な原色使いとグラフィカルなシェイプ、ポップな世界は、今日のファッションやインテリアのデザイナーたちにも大きな影響を与えています。サビーヌはこう語ります。「色、ジグザグ、サークル、幾何学模様。自分のデザイン画を見たとき、「何かに似ている…そう、メンフィス!」と思ったの。デコレーターだったエジプト人の母の趣味で、私の子供部屋の家具はメンフィスだったから、無意識にこの世界に親しんでいたのね」

サビーヌは、作品だけでなくロンドン・メイフェアのショールームの内装も、このメンフィスにちなんで、黄色、赤、青の原色にピンクを加えた4色のカラーブロックで展開しました。「ヴィヴィッドな色が大好き。自宅でもキッチンは黄色、ベッドルームはブルー。色はいいエネルギーを与えてくれるし、ハッピーな気分になれるの」と、サビーヌ。映画では、ウェス・アンダーソンの映画ライフ・アクアティックや’50年代のテクニカラー作品の色彩が大好き、と彼女は目を輝かせます。また、ファッションでの彼女のインスピレーションはドラマ『ダイナスティ』をはじめ、’80年代のテレビドラマや映画に見るおおげさなヘアや大ぶりのジュエリー、そして母が身につけていたというブルガリやヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーのセットアップだとか。サビーヌ・ゲッティの次の新作発表は、2017年1月。今後の方向性を決める羅針盤となったという“色”が新作にどんなふうに反映されるかが、今から楽しみです。

photos: Lowe H Seger

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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