ファッション好きは必見! イヴ・サンローラン・ミュージアム

この秋、パリとマラケシュの二つの街が、それぞれのイヴ・サンローラン・ミュージアム(Musée Yves Saint Laurent)のオープンで沸いています。今回はそのうちの一つ、パリのミュージアムをご紹介します。2004年にピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団として出発したアーカイブズの、国の管轄によるミュージアムとしての新しい出発。9月に他界した氏の元パートナー、ピエール・ベルジェ氏が、イヴ・サンローラン氏の仕事を国のヘリテージとして保存したいという志による企画です。氏の引退後にメゾンのクチュール・サロンがあった18世紀の建物内にできた財団では、彼のクリエイションだけでなく、氏と関わりのあったテーマやアーティストを巡っていくつもの展覧会が開催されて来ました。今後は5000体ものオートクチュールとプレタポルテのウエア、15,000点もの小物、何千にも上るクロッキーや資料と言った膨大な数のアーカイブズをもとに、サンローラン氏によるオートクチュールに絞った企画展を開催の予定。10月3日より来年9月までは、氏のクリエイションの全体像がわかる回顧展が見られます。

 

サンローラン氏が21歳の若さで、急逝したクリスチャン・ディオール氏の後継者に抜擢されたのは、1957年。ちなみに、2年間に渡るディオールでの仕事は、現在パリ装飾美術館で開催中の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展の“後継者”のコーナーに集められています。その後、1962年にはピエール・ベルジェ氏と共にオートクチュールのメゾンを設立。1966年にはプレタポルテ・ライン「イヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ」をスタート。40年のキャリアを終えて、2002年にはメゾンのピノー・グループ(現ケリング)への売却を機に、引退。2008年に他界してからも、氏は常にモード界に影響を与えてきました。彼の仕事と生涯は、二つの映画「サンローラン」と「イヴ・サンローラン」(いずれも2014年作品)にもなっています。ミュゼ・イヴ・サンローランでは、氏のアトリエも再現されていて、感動もの。

Musée Yves Saint Laurent Paris

5, Avenue Marceau 75116 Paris (M Alma Marceau)

開 11-18時 金曜〜21時 休 月曜

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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