ショッピング&フーディング!南仏プロヴァンスでの、夏休み

猛暑のパリにしばしさようならし、パリ・リヨン駅より愛犬スウィーティと共にTGVに揺られること、3時間。エクサン・プロヴァンスで下車すると、早速コーモン邸で開催中のニコラ・ドゥ・スタール(Nicolas de Staël)展へと出向きます。彼はロシアに生まれ、フランスに亡命した、20世紀前半の画家。ニュアンスのある色使いで景色や静物を感情豊かに描いた彼の抽象画が、私は大好きです。彼がプロヴァンスに住んだ頃の作品を集めた本展は、今回の旅のスタートにぴったり!

 次は車で30分ほど走って、オンスイ(Ansouis)へ。「フランスにおける最も美しい村」の一つに指定されているこの村は、徒歩1時間程で一周できるサイズと、車が制限された静かさが魅力です。チャーミングなアン・パシオ・オン・リュベロン(Un Pation en Lubéron)を始めとする数件の民宿や貸し別荘がしかないから、旅行者も少なし。ここに新しい別宅を構えたのは、ラデュレのジェネラル・マネージャーである親友のサフィア・トマスさん。彼女の案内で滞在中に毎日違う村や街に出向いて体験したのは、アンティーク市場に囲まれたレストラン、ジャルダン・デュ・ケ(Jardin du Quai)、国際ピアノフェスティバル(Festival International de Piano)の屋外コンサート、フォンコロンブ城(Château de Fonscolombe)などなど。

そして旅の締めは、久しぶりにアルルへ。古代劇場やアリスカンなど遺跡を巡る合間には、アルル国際写真フェスティバル(Les Rencontres de la Photographie)一環の写真展も覗きます。今ではヨーロッパ屈指のアートイベントとなった同フェスティバルの前身を50年前に立ち上げたのは、写真家のリュシアン・クレルグ。彼の娘アンヌ・クレルグのギャラリー(Anne Clergue Galerie)で見たサーカス団の写真展は詩的で力強く、しばし見入ってしまいました。最後には、デザイナーで古い友人、エリック・ベルジェール(Eric Bergère)のブティックDou Bochiに寄って、彼がデザインするリゾートウエアと、地元のクラフツマンシップが生きたオブジェや雑貨を物色。と、旅ムードが最高潮に達したところで、スウィーティと共に帰りの電車に乗る時間に。さようなら、プロヴァンス。また近いうちに!

Text : Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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