今回も話題が多かったパリのファッションウイーク。ここでは、会期中にオープンした展覧会やショップについてお届けしましょう。
一番の話題は、新生クレージュ!アーティスティック・ディレクターのヨランダ・ゾベルは、就任後初のコレクションでメゾンのDNAをモダンに、ファンキーに昇華させ、ファッション・シーンに新風を吹き込みました。また、ランウェイが開かれた旗艦店の隣には、ショーの当日から期間限定ストアがオープン。1961年にアンドレ・クレージュがメゾンをスタートして以来、ビニール素材のポップなジャケットやミニスカート、そしてバッグの一連はあまりに有名です。そこで、この“ヘリテージ”と未来へのかけ橋としてメゾンが提案したのは、ビニールのストックを使い切り、将来はエコ素材にシフトすること。6000mもあった素材は、アイコニックなウエアやバッグに使用。いずれもシリアル番号入りで、数が小さくなるほどクレージュ新時代へのカウントダウンに繋がる、という運びです。ここには“プラスチックの終結”と書かれたオーガニック・コットンのTシャツをはじめとする、’18年秋冬のカプセル・コレクションも共存。デザイナー交代劇が頻繁な昨今のファッション界では、クリエイションだけでなくメゾンのポリシーで時代を先取りしてこそ、“新生”が実現するのかもしれません。
このほかにも、バイレードのパリ初旗艦店とライフスタイル・コラボの期間限定ストアがダブル・オープン、クチュール・メゾンスキャパレリのサロンが一般客も受け入れる通常営業形態のブティックに、と新しいドアが次々と開きました。Kuntzel+Deygasによるスキャパレリのアニメーション・ビデオも要チェック。また美術館関係では、ミュゼ・サンローラン・パリの展示がリニューアル、そしてルイ ヴィトン財団でエゴン・シーレとジャン=ミッシェル・バスキア、二つの展覧会がオープン。さらにパリ国立オペラ座では、新シーズンの幕開けを祝ってガラ公演が。ルドルフ・ヌレエフ振り付けのシンデレラからウェイン・マクレガーのツリー・オブ・コードなど、向こう1年のプログラムも発表されています。近々パリに行く予定のある人は、ぜひアドレスと日程をチェックして。
Text: Minako Norimatsu