スーパーモデル、サスキア・デ・ブロウの今

オランダ出身、NY在住のトムボーイなモデル、サスキア・デ・ブロウ(Saskia de Brauw)。彼女はアムステルダムでアートを学び、パーソナルワークの資金稼ぎにモデルを始める一方、ビジュアルとテキスト、そしてパフォーマンスをミックスしたアートを地道に発展させて来ました。彼女のアートのコンセプトは、時と場所という二つの軸から、移動する人々の生態を観察すること。特に通過地点の後に残されたものに注目し、初めての本格的なアート作品として2016年秋に発表したのが、道端で拾ったオブジェの写真やスキャンで綴った本「The Accidental Fold」です。

その後出産を経てサスキアがすぐに取りかかったのが、新プロジェクト「Ghosts Don’t Walk in Straight Lines」。めまぐるしいモデル時代を経て、逆にスローテンポでものを見たくなったと言う彼女は、マンハッタンを北から南へ丸一日かけて横断するというアイディアに行き着きました。彼女の“スロー・ウォーク”をビデオカメラにおさめ、周りの風景や人々の様子を織り交ぜた編集でショートフィルムとして完成させたのは、Vincent Van de Wijngaardです。衣装はハイダー・アッカーマン。数年前、サスキアがハイダーのショーでランウェイ・デビューを果たして以来、二人はサポートしあって来たとか。Another Magazineの支援によりロンドンで開かれたローンチ・イベントに続き、3月半ばにパリで開かれた試写会に駆けつけたハイダーは、「彼女にこの企画を持ちかけられた際、当然一つ返事でOKしたよ」と語ります。サスキアは今後も、哲学的なアートの道を極める予定だとか。

Text: Minako Norimatsu

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ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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