2019.04.25

モードなブランドがインテリアを手がけると?ミラノで見た最新作

4月9〜14日、ミラノのデザイン・ウイークに行ってきました!この週ミラノでは、巨大な見本市会場ロー・フィエラ ミラノで開かれるミラノサローネ国際家具見本市(Salone Del Mobile.Milano)を始め、街中で無数のデザイン・スタジオやメーカーが家具から照明、食器、壁紙、オブジェ、キッチンツール、装飾品に渡る新作を発表します。関係者向け内覧会やプライベートのオープニングイベントの後、各展示は一般にも公開されるので、会場が集中する地区、特にエルメスの会場となったラ・ペロタもあるブレラはすごい混雑。またルイ ヴィトンなど大手の展示では、長い行列が。あまりの数に、一体何から見たらいいのか……と途方に暮れますが、私はデザイン&アートのバイブル、ウォールペーパー誌のプレビューを読み込んで、事前に自分なりのコースを作りました。ここでは、モードのブランドのホームコレクションをまとめてご紹介しましょう。

作品、演出ともに特筆すべきは、Dimorestudio for Dior。ディオールでは既にテーブルウエアのラインが充実していますが、今回発表されたのはこれとは別立てで、ミラノ・ベースのデザイナー・デュオディモーレ スタジオとのコラボレーション。舞台は15世紀に建造され、100年ほど前には近代ミラノを代表する建築家ピエロ・ポルタルッピによって改装された、アテラーニ邸。各コーナーでは、黒の壁にチョークでだまし絵風のドローイングが描かれています。メゾンのコードの再解釈によって、ディオールの従来のフェミニンさとはまた違う、シャープでコンテンポラリーな世界が展開されました。ブロンズやゴールド、プレキシグラス(樹脂)などを駆使。花瓶、トレイ、燭台、フレームなど贅沢な14点からなるコレクションは、いずれもオーダーメイドのカプセル・コレクション。

ところで、ファッションとインテリアをリンクさせるデザイナーは少なくありません。その例が、ラフ・シモンズ。カルバン・クラインを去って現在は自身のメンズブランドに専心しているラフと、デンマークの家具用ファブリックのメーカー、クヴァドラ(Kvadrat)とのタッグ組みは、これで6シーズン目。元来工業デザイナーだったこともあり、アートやデザインに造詣が深い彼による演出は、ジャン・プルーヴェ設計のプレハブ・ハウスを建て込んだ“ノーマンズ・ランド”。ここには、新作ファブリックで包んだミッドセンチュリーのアイコニックな家具の数々が配されました。また、元ビル・ブラスやニナ・リッチのアーティスティック・ディレクターだったラース・ニルソンは、今ではテキスタイル・デザイナー。昨年は彼の出身地スウェーデンのインテリア・ショップ、スヴェンスクトテンで自身のデザインによる生地を使った家具やオブジェを発表したのに続き、今年は同じくスウェーデンのベッドメーカー、へステンズ(Hästens)とコラボし、4種類のチェックのベッドリネンを発表しました。

これに続き、次回はモードのメゾン以外のデザイン展、そして展示会の合間に寄ったミラノのアートギャラリー、ショップ、レストランなどをご紹介します。お楽しみに!

 text: Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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