Dimorestudio for Diorの展示より。右:「キュビズム」と名付けられたトレイと灰皿は、共にプレキシグラス(樹脂)とゴールド。左:ディオールを象徴するバー ジャケットがかけられたフックは、ドット模様に見える視覚効果が楽しい。Photo : Silvia Rivotella
アテラーニ邸のフレスコ画とのコントラストで見せたDimorestudio for Diorの展示。左手の傘立てでは籐で編んだカナージュに、ゴールドとブラックメタルを配して。Photo : Silvia Rivotella
フェンディ&フェンディ カーサの展示は、建築家&インテリアデザイナーのクリスティーナ・チェレスティーノによる“バック・ホーム”。ペカン・ストライプをフィーチャーし、テラコッタ、大理石、オニキス、メタルを多用して、70年代ローマのブルジョワの邸宅をイメージ。photo:Minako Norimatsu
ロエべの新企画“ロエベ・バスケット”では10人あまりのアーティストが、ロエベのレザーを使って一点もののオブジェを創作した。右:ショップ上階に飾られたのは、竹細工職人の松本破風氏による革の籠。左:その側ではスペインの熟練職人、アルバロ・レイロ氏が限定商品の籠バッグ制作を実演。photo:Minako Norimatsu
エルメスでは、メゾンのホーム部門のアーティスティック・ディレクター、シャルロット・マコー・ペレルマンが構想した石の迷路を巡りつつ、作品を鑑賞。今年のテーマ、素材へのこだわりが特に顕著だったのが、上に見える黒と白のランプ(それぞれ、漆黒のジンバブエ産花崗岩と透明感のあるリモージュ磁器)。photo: François Lacour
ルイ ヴィトンは、著名デザイナーを集めて2012年に始まった「オブジェ・ノマド」ラインに新作を加え、幻想的な展示を。ロンドン・ベースの若手デザイナー・デュオ、ロー・エッジズ(Raw Edges)のドールズは、さまざまな文化を着装源とし、メゾンのDNAである”旅”をプレイフルに表現した椅子の一連。photo: ©︎Stephane Muratet
アルマーニ カーサでは、ブティックと自社イベント会場アルマーニ テアトロの2か所に分けての展示を。写真は共に、アルマーニ シーロスで始まったばかりの展覧会も好評な安藤忠雄の設計による、テアトロにて。photo :右:Minako Norimatsu 左:Fabrizio Nannini
ヴァンクリフ&アーペルでは、フランスの新進デザイナー、アーサー・ホフナー(Arthur Hoffner)を起用し、市内のブティックにて今月いっぱい遊びのあるディスプレイを。右:スポンジと真鍮の球体を使ったオブジェ。左:アルミニウムの管を組み合わせた「トーテム コンポジション」。Van Cleef & Arpels , Monte Napoleone 10 photo:Minako Norimatsu
プラダでは、2019年春夏コレクションの一部として既に発表された「Prada Invites」プロジェクトのナイロン素材アイテムをフィーチャーした。インテリア企画ではないものの、デザインウイークにふさわしくコラボレーターは3人の女性建築家。カラフルなポーチを付け替えて遊べる“モジュラー”式スカーフとバッグ(写真)は妹島和世氏の作品。
Miu Miu M/Matching Colorstoolは、ミュウミュウとアートディレクター・デュオのエムエムパリスとのコラボ。右:過去のショー会場で使われた木製の椅子をリサイクル。無数の穴にマッチ棒状のカラースティックを挿してカスタマイズできるスツールは、限定商品。左:プレゼンテーションは歴史的なマリオネット劇場で。photo:Minako Norimatsu
昨年スタートしたグッチのホーム・コレクションがさらに充実し、期間限定ストアがオープン。グッチ公式アプリ「グッチ デコール」のページも要チェック。Gucci Decorは6月末まで。Via Santo Spirito 19
「グッチ デコール」では家具、オブジェ、クッション、壁紙からテーブルウエアまでを2フロアにぎゅっと詰めた、デコラティブなグッチ・ワールドを展開。花や動物のモチーフ、メゾンのアイコニックなパターンなどは、ファッション・アイテムとマッチング。
モダンにブラッシュアップした極彩色のヴィンテージ・プリント生地を使ったドレスで知られる、デザイナーのJJマーチン(写真)。彼女の新作「ラ・ダブル・ジェイ(La Double J)ベッドタイム」は、クッションやパジャマを含むベッド周りのコレクション。この機に、テーブルリネンや食器、磁器の花瓶などの新作も。
ラース・ニルソンと、ベッドのオートクチュールと言われるへステンスとのコラボは、コットンのベッドリネン。右:インスピレーションは、イギリス、イーストサセックス州グレート・ディクスター・ハウスの庭で見た花の色合い。左:ミラノ サローネ国際家具見本市のブースにて、ラース・ニルソン。Photo左: Minako Norimatsu
Kvadrat / Raf Simons の展示No Man’s Landでは、ル・コルビュジエがかの「チャンディガール」プロジェクトのために作り、その後定番となったベッドや椅子を、ラフ・シモンズのデザインによる新作ファブリックでくるんだプレゼンテーションを。photo:Minako Norimatsu
Kvadrat / Raf Simonsより。右:クッションの一連。一番上は光沢のあるモヘアのArgo、真ん中は畝の幅が広い厚手コットン・コーデュロイのPhlox、下はウールのブークレ素材、Atomを使用。左:点描画に似た模様がラフらしいAtomは6色展開(ウール90%) photo
左: Minako Norimatsu
Dimorestudio for Diorの展示より。右:「キュビズム」と名付けられたトレイと灰皿は、共にプレキシグラス(樹脂)とゴールド。左:ディオールを象徴するバー ジャケットがかけられたフックは、ドット模様に見える視覚効果が楽しい。Photo : Silvia Rivotella
アテラーニ邸のフレスコ画とのコントラストで見せたDimorestudio for Diorの展示。左手の傘立てでは籐で編んだカナージュに、ゴールドとブラックメタルを配して。Photo : Silvia Rivotella
フェンディ&フェンディ カーサの展示は、建築家&インテリアデザイナーのクリスティーナ・チェレスティーノによる“バック・ホーム”。ペカン・ストライプをフィーチャーし、テラコッタ、大理石、オニキス、メタルを多用して、70年代ローマのブルジョワの邸宅をイメージ。photo:Minako Norimatsu
ロエべの新企画“ロエベ・バスケット”では10人あまりのアーティストが、ロエベのレザーを使って一点もののオブジェを創作した。右:ショップ上階に飾られたのは、竹細工職人の松本破風氏による革の籠。左:その側ではスペインの熟練職人、アルバロ・レイロ氏が限定商品の籠バッグ制作を実演。photo:Minako Norimatsu
エルメスでは、メゾンのホーム部門のアーティスティック・ディレクター、シャルロット・マコー・ペレルマンが構想した石の迷路を巡りつつ、作品を鑑賞。今年のテーマ、素材へのこだわりが特に顕著だったのが、上に見える黒と白のランプ(それぞれ、漆黒のジンバブエ産花崗岩と透明感のあるリモージュ磁器)。photo: François Lacour
ルイ ヴィトンは、著名デザイナーを集めて2012年に始まった「オブジェ・ノマド」ラインに新作を加え、幻想的な展示を。ロンドン・ベースの若手デザイナー・デュオ、ロー・エッジズ(Raw Edges)のドールズは、さまざまな文化を着装源とし、メゾンのDNAである”旅”をプレイフルに表現した椅子の一連。photo: ©︎Stephane Muratet
アルマーニ カーサでは、ブティックと自社イベント会場アルマーニ テアトロの2か所に分けての展示を。写真は共に、アルマーニ シーロスで始まったばかりの展覧会も好評な安藤忠雄の設計による、テアトロにて。photo :右:Minako Norimatsu 左:Fabrizio Nannini
ヴァンクリフ&アーペルでは、フランスの新進デザイナー、アーサー・ホフナー(Arthur Hoffner)を起用し、市内のブティックにて今月いっぱい遊びのあるディスプレイを。右:スポンジと真鍮の球体を使ったオブジェ。左:アルミニウムの管を組み合わせた「トーテム コンポジション」。Van Cleef & Arpels , Monte Napoleone 10 photo:Minako Norimatsu
プラダでは、2019年春夏コレクションの一部として既に発表された「Prada Invites」プロジェクトのナイロン素材アイテムをフィーチャーした。インテリア企画ではないものの、デザインウイークにふさわしくコラボレーターは3人の女性建築家。カラフルなポーチを付け替えて遊べる“モジュラー”式スカーフとバッグ(写真)は妹島和世氏の作品。
Miu Miu M/Matching Colorstoolは、ミュウミュウとアートディレクター・デュオのエムエムパリスとのコラボ。右:過去のショー会場で使われた木製の椅子をリサイクル。無数の穴にマッチ棒状のカラースティックを挿してカスタマイズできるスツールは、限定商品。左:プレゼンテーションは歴史的なマリオネット劇場で。photo:Minako Norimatsu
昨年スタートしたグッチのホーム・コレクションがさらに充実し、期間限定ストアがオープン。グッチ公式アプリ「グッチ デコール」のページも要チェック。Gucci Decorは6月末まで。Via Santo Spirito 19
「グッチ デコール」では家具、オブジェ、クッション、壁紙からテーブルウエアまでを2フロアにぎゅっと詰めた、デコラティブなグッチ・ワールドを展開。花や動物のモチーフ、メゾンのアイコニックなパターンなどは、ファッション・アイテムとマッチング。
モダンにブラッシュアップした極彩色のヴィンテージ・プリント生地を使ったドレスで知られる、デザイナーのJJマーチン(写真)。彼女の新作「ラ・ダブル・ジェイ(La Double J)ベッドタイム」は、クッションやパジャマを含むベッド周りのコレクション。この機に、テーブルリネンや食器、磁器の花瓶などの新作も。
ラース・ニルソンと、ベッドのオートクチュールと言われるへステンスとのコラボは、コットンのベッドリネン。右:インスピレーションは、イギリス、イーストサセックス州グレート・ディクスター・ハウスの庭で見た花の色合い。左:ミラノ サローネ国際家具見本市のブースにて、ラース・ニルソン。Photo左: Minako Norimatsu
Kvadrat / Raf Simons の展示No Man’s Landでは、ル・コルビュジエがかの「チャンディガール」プロジェクトのために作り、その後定番となったベッドや椅子を、ラフ・シモンズのデザインによる新作ファブリックでくるんだプレゼンテーションを。photo:Minako Norimatsu
Kvadrat / Raf Simonsより。右:クッションの一連。一番上は光沢のあるモヘアのArgo、真ん中は畝の幅が広い厚手コットン・コーデュロイのPhlox、下はウールのブークレ素材、Atomを使用。左:点描画に似た模様がラフらしいAtomは6色展開(ウール90%) photo
左: Minako Norimatsu
4月9〜14日、ミラノのデザイン・ウイークに行ってきました!この週ミラノでは、巨大な見本市会場ロー・フィエラ ミラノで開かれるミラノサローネ国際家具見本市 (Salone Del Mobile.Milano)を始め、街中で無数のデザイン・スタジオやメーカーが家具から照明、食器、壁紙、オブジェ、キッチンツール、装飾品に渡る新作を発表します。関係者向け内覧会やプライベートのオープニングイベントの後、各展示は一般にも公開されるので、会場が集中する地区、特にエルメスの会場となったラ・ペロタもあるブレラはすごい混雑。またルイ ヴィトンなど大手の展示では、長い行列が。あまりの数に、一体何から見たらいいのか……と途方に暮れますが、私はデザイン&アートのバイブル、ウォールペーパー 誌のプレビューを読み込んで、事前に自分なりのコースを作りました。ここでは、モードのブランドのホームコレクションをまとめてご紹介しましょう。
作品、演出ともに特筆すべきは、Dimorestudio for Dior。ディオール では既にテーブルウエアのラインが充実していますが、今回発表されたのはこれとは別立てで、ミラノ・ベースのデザイナー・デュオディモーレ スタジオ とのコラボレーション。舞台は15世紀に建造され、100年ほど前には近代ミラノを代表する建築家ピエロ・ポルタルッピによって改装された、アテラーニ邸。各コーナーでは、黒の壁にチョークでだまし絵風のドローイングが描かれています。メゾンのコードの再解釈によって、ディオールの従来のフェミニンさとはまた違う、シャープでコンテンポラリーな世界が展開されました。ブロンズやゴールド、プレキシグラス(樹脂)などを駆使。花瓶、トレイ、燭台、フレームなど贅沢な14点からなるコレクションは、いずれもオーダーメイドのカプセル・コレクション。
ところで、ファッションとインテリアをリンクさせるデザイナーは少なくありません。その例が、ラフ・シモンズ。カルバン・クラインを去って現在は自身のメンズブランドに専心しているラフと、デンマークの家具用ファブリックのメーカー、クヴァドラ (Kvadrat)とのタッグ組みは、これで6シーズン目。元来工業デザイナーだったこともあり、アートやデザインに造詣が深い彼による演出は、ジャン・プルーヴェ設計のプレハブ・ハウスを建て込んだ“ノーマンズ・ランド”。ここには、新作ファブリックで包んだミッドセンチュリーのアイコニックな家具の数々が配されました。また、元ビル・ブラスやニナ・リッチのアーティスティック・ディレクターだったラース・ニルソンは、今ではテキスタイル・デザイナー。昨年は彼の出身地スウェーデンのインテリア・ショップ、スヴェンスクトテンで自身のデザインによる生地を使った家具やオブジェを発表したのに続き、今年は同じくスウェーデンのベッドメーカー、へステンズ(Hästens )とコラボし、4種類のチェックのベッドリネンを発表しました。
これに続き、次回はモードのメゾン以外のデザイン展、そして展示会の合間に寄ったミラノのアートギャラリー、ショップ、レストランなどをご紹介します。お楽しみに!
text: Minako Norimatsu