マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックと行くジャイプール

七色に輝くジェムストーンを操るファインジュエリー・デザイナー、マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックの取材で初秋に訪れたのは、彼女のアトリエがあるインド・ラジャスタン地方のジャイプール。発売中の本誌2020年1月号にも彼女のおすすめアドレスを掲載していますが、他にも特別な場所を幾つかたずねる機会に恵まれました。

マリーエレーヌのジャイプール滞在中の楽しみは、週末のゲッタウェイだとか。私も彼女のお気に入りホテル、サモード・パラスにお供しました。市内から車で1時間ちょっと走り、アラヴァリ丘のサモード村へ。群れになってうろついているイノシシの家族たちの間を縫って小高い山の中腹の小径をさらに進むと、突然現れるのがこの、文字通り“宮殿”です。かつてはマハラジャの住まいだったと言うから、ムガール様式を取り入れた柱や天井の装飾は、美術館並み。そして歴史的な部分を見学した後は、終日をプールサイドで。猿の親子が塀の上でたわれている背後に、山々が眺められるのが何とものどか。

一方ジャイプール市中心のマハラジャ邸、観光名所でもあるシティパレスは最近世界中で話題の的。なぜなら宮殿内の一角「グドリヤ・スイート」がレンタルを目的に改装され、Airbnbで予約解禁になったのです。デコレーターとして改装に関わったのはなんと、ジャイプール在住でマリーエレーヌのジュエリー作りを手伝う彼女の姪、クレール・ドルー。彼女は宮殿の倉庫にあったと言うアンティークの家具を配しつつ、マリーエレーヌにも似たポップなタッチで、カラフルなスイートルームを作り上げました。

ジャイプールから戻り、バゲージを開けるとちょっとの予算でたくさん仕入れたお土産に大満足。中でもイドゥリーのプリントシャツや、Bapuバザールで仕入れたリボンやボタンは 宝物です。ビューティプロダクツも優れもので、マリーエレーヌのアトリエと同じMI RoadにあるアユルヴェーダのKamaForest Essentialsはインドの2大ナチュラル・ブランド。

ちなみにマリーエレーヌは、作品集Gold and Gemsの出版を記念して12月初旬に来日。7日には新宿伊勢丹本館3Fで、8日には阪急うめだ本店3Fで、ブックサイニングが開かれます (いずれも14時〜17時)。

text : Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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