テーマカラーはブルー! フランスのモード界が一丸となっての、チャリティ・オークション

ヨーロッパではイタリア、スペインに続いて3番目に新型コロナウイルスの被害が大きいフランス。ここ2か月余りは連日、感染のリスクを負いつつ体力的にも精神的にも計り知れないほど大変な仕事をこなしている医者や看護師・看護婦の様子が報道されています。そこで彼らを援助しようと結成されたのが、民間団体#ProtegeTonSoignant(君の看護師を守れ、の意)です。活動内容は、今病院では器具から医療マスク、防御服までの何がどのくらい不足しているかを調査し、資金を集め、それらをできるだけ早く調達すること。これまでも多くの著名人や一般人がこの基金に寄付をしてきましたが、まだまだ病院のニーズを満たすにはほど遠いのが現状だとか。そこでオークションの形で資金を募ろうと結集したのが、パリのモード界。音頭を取ったのは、FHCM(仏オートクチュールとプレタポルテ連合協会)とIFM(仏ファッション・インスティテュート)です。

La mode s’engage(モードは献身する、の意)と名付けられたこのオークションに寄せられたのは、特別に作られたコレクターズ・アイテムか既存コレクションからのセレクション。テーマは#ProtegeTonSoignantのシンボルであるブルーです。参加はフランス人だけでなくパリでコレクションを発表するデザイナーやパリとゆかりの深いブランドが中心。ディオール、セリーヌ、シャネル、バレンシアガ、ルイ ヴィトンと言ったリュクスメゾンからマーク ジェイコブズ、ドリスヴァンノッテン、ステラ・マッカートニー、サカイをはじめとするクリエイター、そしてコペルニ、ロックら若手デザイナーまで、100あまりです。商品はスウェットシャツから高価なバッグまでまちまちですが、いずれも競りの最低値は100ユーロ。戦利品は5月11日に設定されている(5月1日時点)フランスのロックダウン解禁と共に、買手の元に安全な方法で発送されます。そして売り上げはすぐに、不足品の購入とデリバリーに投入される予定。新型コロナ対策では、それぞれの国でさまざまな形での資金援助が進行中ですが、こうして普段はコンペティターである人や会社が一丸となって一つの目的に向かうと言う動きには、何か特別なパワーを感じられます。

https://lamodesengage.com/
La mode s’engage オークションはフランス時間で5月1日12時〜5月4日23時59分まで(フランスは日本から−7時間)。競りに参加するには、事前にサイトへの登録を。

Text: Minako Norimatsu

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ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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