右:セルフサービス53号は、なんと暑さ4cm。左:3種の表紙のうち、一つは1995年のクリステン・マクメナミーのポートレートに、最新のバレンシアガのドレスを合わせた合成写真。Photo:Glen Luchford. (オリジナルphoto: Badgley Mischka)
右:もう一つの表紙は、エズラ自身の写真をもとにした、リチャード・フィリップスによるペインティング。左:リチャードのアトリエにて。painting rephotographed by Tom Powel Imaging
More than ever より、ファッションストーリー巻頭はGlossy。ちなみにセルサービス誌は、年2回刊行。第53号はなんと、全500ページに渡る。Photo: Mert Atlas and Marcus Piggot
More than everより、エズラ撮影によるファッション・ストーリー、Pinup。ちなみに彼が率いるデジタル・エージェンシーContent Mattersは、数々のハイエンド・ブランドのビジュアルも手がけている。Photos: Ezra Petronio
More than everより、ボッテガ・ヴェネタ特集I want it。Photos : Senta Simond。セルフサービス誌の動画版、初回はYoutubeで無料視聴が可能だが、今後はi-TunesでのVODになる可能性もあるとか。
More than everから、ケンゾーの特集The Silhouette。動画でも、服やスタッフのクレジットは文字で表示されている。Photos : Johnny Dufort
エズラは “若手デザイナーたちに、クリエイションはどんな形でも可能だと言うことを見せたくて”と、1990年代から続くコンセプチュアル・ブランド「ブレス」を特集。
More than ever 動画版のみでの特集は、ファッション界のキーパーソンたちのセレクションによる‘90年代のランウェイショーショー。これも、若い世代に見せたいと言うエズラの希望で生まれた企画。
右:セルフサービス53号は、なんと暑さ4cm。左:3種の表紙のうち、一つは1995年のクリステン・マクメナミーのポートレートに、最新のバレンシアガのドレスを合わせた合成写真。Photo:Glen Luchford. (オリジナルphoto: Badgley Mischka)
右:もう一つの表紙は、エズラ自身の写真をもとにした、リチャード・フィリップスによるペインティング。左:リチャードのアトリエにて。painting rephotographed by Tom Powel Imaging
More than ever より、ファッションストーリー巻頭はGlossy。ちなみにセルサービス誌は、年2回刊行。第53号はなんと、全500ページに渡る。Photo: Mert Atlas and Marcus Piggot
More than everより、エズラ撮影によるファッション・ストーリー、Pinup。ちなみに彼が率いるデジタル・エージェンシーContent Mattersは、数々のハイエンド・ブランドのビジュアルも手がけている。Photos: Ezra Petronio
More than everより、ボッテガ・ヴェネタ特集I want it。Photos : Senta Simond。セルフサービス誌の動画版、初回はYoutubeで無料視聴が可能だが、今後はi-TunesでのVODになる可能性もあるとか。
More than everから、ケンゾーの特集The Silhouette。動画でも、服やスタッフのクレジットは文字で表示されている。Photos : Johnny Dufort
エズラは “若手デザイナーたちに、クリエイションはどんな形でも可能だと言うことを見せたくて”と、1990年代から続くコンセプチュアル・ブランド「ブレス」を特集。
More than ever 動画版のみでの特集は、ファッション界のキーパーソンたちのセレクションによる‘90年代のランウェイショーショー。これも、若い世代に見せたいと言うエズラの希望で生まれた企画。
また一つ、ファッションの斬新な表現が生まれました。「Have you ever watched a magazine? 」と言うコンセプトのもとに、広告から編集記事、ファッションストーリーまで、ファッション誌の全てが一つのムービーになったのです。リリースにあたっては、まるで映画の予告編のようなティザー も発表されました。立役者は、エズラ・ペトロニオ 。アート・ディレクター、フォトグラファー、そして何よりもパリのインディペンデント・ファッション誌「セルフ・サービス 」の編集長として知られています。彼が、26年前に自身が創刊した同誌の第53号(2020年秋冬) とその動画版につけたサブタイトルは、More than ever。「制約の多いこの時期だからこそ、より一層創造性を追求しなければ」。背後にあるのは、こんな信念でした。
「『セルフサービス』は、あらゆるアイディアを試すラボラトリー」と、エズラは語ります。「雑誌の動画版は、実は以前から練っていた企画。でもなかなか機会がなかったところ、今回のコロナ禍で踏み切った。今しかない!とね。3月に撮り始めたファッションストーリーは、写真とムービーの2本立てで、バリエーションを用意。とにかくビジュアルはいろいろな手法を幾層にも重ねた “マルチ・レイヤー”で。音楽はペドロ・ウインター(プロデューサー、作曲家、DJ)がリミックスと監修をしてくれた。つまり写真と動画に加えて文字、音声、音楽とあらゆる表現方法を使った、とても刺激的でエキサイティングなフィルムに仕上がった。とてつもなく複雑なプロセスだったけれど。広告の既存ビジュアルのアニメ化と言うアイディアをクライアントに提案して同意を得たり、モデルを始め100人以上のコントリビューターの権利を確認したり…」。
こう語るエズラの会心の作は、長編映画の始まりに似たドラマチックなイントロダクションから始まります。表紙から裏表紙まで。同誌と全く同じ順番で、時にはブランドのロゴが解体・再構築されたり、編集された動画と静止画像が並列したり、写真がGifのように動き出したり。ヨーガン・テラーやデイヴィッド・シムズらフォトグラファーたちのインタビューは音声と文字の表示です。また、この号でクリエイティブ・コミュニティの団結を狙ったエズラは、「これからのジェネレーションを鼓舞するのは僕たちの役目だから」と、ロック・ファンやマリーン・セルと言った若手デザイナーに、ページを提供。一方 「チャレンジし続けるインディペンデント誌の存在はとても大事」と、「Love」のケイティ・グランドから「System」のトマ・ロンタルまで、他誌のファウンダーやディレクターたちと自身の会話を掲載しました。
「もちろん、パソコンやデバイスの画面からは鳥肌が立つような感動は得られないし、全てをデジタルに置き換えることは不可能。電子化には様々な疑問や批判もあるけれど、それが新たなるクリエイションへの糧となる」。こう信じるエズラは来シーズン以降もセルフサービス誌の動画版を作り続ける予定。More than everのフィルムは、紙からデジタルへの移行の奨励ではなく、両方の媒体をより高め、それぞれの限界を超える役割を果たすでしょう。ファッション・メディアに、未来ありき。エズラの思いは、既にファッション界の多くの人々の共感を得ています。
Text: Minako Norimatsu