服と写真が対話する。アズディン・アライア/ ピーター・リンドバーグ展。

去る519日、パリはやっとロックダウン解除の第一段階に!カフェやレストランのテラス席や生活必需品でないショップに続き、待望の再オープンを遂げたのはミュージアムやギャラリーです。早速アライア財団に、開催が延期されていた展覧会を見に行ってきました。題してアズディン・アライア / ピーター・リンドバーグ展

かつてリチャード・アヴェドンとクリスチャン・ディオール、そしてヘルムート・ニュートンとイヴ・サンローランなど、写真家とクチュリエが友情を育むと同時にクリエイティブな観点をシェアし、刺激し合う例は少なくありません。アライアとリンドバーグもその一例。1935年チュニジア出身の前者と1944年ドイツ生まれの後者は、それぞれ南と北からパリを目指して居を定め、1979年に出会うべくして出会ったのでした。それ以降、アライアが2017年、リンドバーグが2019年に他界するまで、モノクローム、シネマ、そして女性の美しさという共通のパッションを軸に、二人のアーティストは数々のコラボレーションを重ねたのです。アライアはクチュリエとして構築的な服を作る。リンドバーグは写真家として彼の服をまとったモデルをカメラに収める。映画の一コマの様なモノクロの写真では、まるで彫刻の様な服のシルエットが浮き彫りになり、女性たちは服とレンズという二つの媒体を通して素顔をあらわにしました。

 

本展を監修したのは、ピーターの息子のベンジャミン・リンドバーグと、ファッション史家でアライア財団のディレクターのオリヴィエ・サイヤール。地上階の各展示ではプリントと、写真に収められた服が並列展示され、ギャラリーの本来の作りと相まって、グラフィックな効果を成しています。アライアを“パパ”と呼んだナオミ・キャンベルを始め、マリー=ソフィー・ウィルソンやリン・コスター、タティアナ・パティツなど、1980-90年代のトップモデルの姿もずらり。また上階ではティナ・ターナーの衣装、写真と共に、1986年にノルマンディーのトケの海岸で行われた撮影の様子を収めたフィルムも上映。この機にTaschenから出版されたカタログも必見です。

Azzedine Alaïa - Peter Lindbergh 展は1114日まで

Text: Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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