ロンドンファッションウィーク第一弾、第二弾の記事に続き、ルーキーデザイナーの発表もプレイバック。

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ロンドン ファッションウィーク25年春夏で気鋭の若手ブランドに注目!

ロンドンファッションウィーク第一弾、第二弾の記事に続き、ルーキーデザイナーの発表もプレイバック。

ロンドンの醍醐味は、LVMH賞で注目された有力新人たちのその後

ハリー・スタイルズからの投資を受けて躍進する、S.S.デイリー。2022年度のLVMH賞に輝いたデザイナーのスティーヴン・ストーキー=デイリーは今回はじめてウィメンズオンリーのショーを開きました。インスピレーションは、20世紀初頭に活躍したイギリスの女性画家、グルック。同性愛者で自身はテーラードやワークウェアをまとい、フェミニンな装いの友人や愛人たちの肖像画を描いたことで知られています。前述のアーデムと重なりますが、スティーヴンのアプローチはやや異なり、自身の元来の専門であるメンズウェアにウィメンズのテクニックを用いることでソフトとハード、例えばテーラードとドレーピングをミックスしました。

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S.S.デイリー。Photo: Cris Fragkou

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ウッドビーズでクロスステッチ風に見せたオーバースカートは、本コレクションでもっとも反響が大きかったアイテム。Photo: Cris Fragkou

またこの9月にLVMH賞でサヴォワフェール賞に輝いたのは、スタンディンググラウンドのミカエル・スチュアート。クレープやベルベットをドレープやプリーツでまるで彫刻のように仕上げた単色のドレスには、アライアの技術を思わせるものがあります。シグネチャーのビーズやファブリックでくるんだチューブも、全てがドレスとマッチングカラー。22ルックからなる初めてのショーではレザーのドラマチックなジャケットやコートも登場し、今後の素材やシルエットの広がりが楽しみです。

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シグネチャーであるチューブ状のベルトとプリーツを多用したニットのドレスは、スタンディング・グラウンド。Photo: Courtesy of Standing Ground

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スタンディング・グラウンドでは、緩やかなドレープと彫刻のような形が共存する。Photo: Courtesy of Standing Ground

最後に挙げたいのは、今年度のLVMH賞ファイナリストからの二人です。一人は、パオロ・カルザナ。自身で素材のすべてをハイビスカス、ブラックティー、オークル、草木染めし、一点ずつ手作りする真の職人、真のアーティストです。本コレクションの出発点は、カラヴァッジョが描いたナルシス。とはいえストーリーテリングではなく、その絵からのインスピレーションは素材のカラーパレットや質感に落とし込まれました。会場はハックニーにあるパオロの自宅の庭。ゲストを70人のみに絞り、まるでお芝居のような設定で見せたショーは、ロンドンファッションウィークの締めを飾るイベントとして話題になりました。

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草木染めのファブリックを使ったハンドクラフトを続ける、パオロ・カルザナ。Photo: Henry Gorse

そして同じく今年度のファイナリストは、SPUR本誌7月号で6ページに渡って紹介した、ポーリーヌ・デュジャンクール。初めてのプレゼンテーションはブリティッシュ・ファッションカウンシルのオフィシャルスペースの一角で開かれました。10年前に日本を訪ねた際におみくじがお寺の境内の綱に結ばれているのを見て感動した思い出から、会場の中央に据えたセットに結びつけたのは、無数の短尺上の布。13のルックでは彼女のシグネチャーであるモヘアの鉤針編みはもちろん、引き裂いたオーガンジーや小花柄プリントの生地で編み上げたネットで組み立てたドレスが中心。白と黒の他モスグリーンも加わり、彼女独特のロマンティックなクラフト・ワールドが繰り広げられました。

ポーリーヌ・デュジャンクールのプレゼンテーションでは短尺状に裂いた布のセットの周りでモデルたちがゆっくりと歩みを進めた

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ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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