「トワル・ド・ジュイ」を知っていますか?名前を知らずとも、誰でも一度は見たことがあると思います。コットンに、ワントーンで田園風景が緻密に描かれた“西洋更紗”。18世紀にヴェルサイユ近郊の村で生み出されました。銅版画による単色の田園風景が有名ですが、カラフルな花々が散りばめられた木版画のテキスタルも多く生産されました。
先日、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで行われている『西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展』に足を運んだのですが、その夢のような世界観にすっかり乙女心を掴まれてしまいました。かつてはあのマリー・アントワネットも愛したという模様の数々は、可愛いらしいのに洗練されており、「本物」ならではの強さと、タイムレスな魅力を放っています。
1760年にドイツ出身のクリストフ=フィリップ・オーベルカンプによって設立されたジュイ=アン=ジョザス工場は、動物画家のジャン=バティスト・ユエをモチーフのデザイナーに迎えて大きく発展します。彼が描くしなやかな人物像、植物、動物たちは優しさに満ちていて、一枚の布の上で繰り広げられる物語に目が釘付けです。題材は神話や歴史的事件、世界の大陸、春夏秋冬などさまざま。
写真はミュージアムショップで購入したポストカードです。布を紡いでいる人、染めている人、デザインを起こしている人など、この工場で日々織り成される仕事現場が切り取られています。なかにはジャン=バティスト・ユエ本人がデザインを指示している姿も。ひとつひとつじっくり見ていくと、だんだんこの小さな世界にもぐりこんで一緒に生活しているような錯覚に。友人とひそひそ声で、どの柄が好みかを語らいながら観るのも楽しいです。
そしてぜひおすすめしたいのが、物販。美術館の物販でこんなにテンションが上がることなんてそうそうありません。正方形のポストカードに、iPhoneケース、メモ帳、一筆箋を購入しました。ほかにもティッシュボックスや布、マグネットなど使えそうなものが満載です。この週末は、トワル・ド・ジュイが織り成すストーリーに没頭してみませんか?
ファッション、ビューティ担当。音楽担当になったので耳を鍛えてます。好きなものは、色石、茄子、牧歌的な風景。