怪談の季節です

 発売中の9月号にて、「石川三千花とダイノジ大谷の怖い話、伍番勝負」を掲載していますが、夏といえば怪談の季節です。“読む”怪談も足の先からぞわぞわ~と寒気がするような恐怖感がありますが、“聞く”怪談もその恐怖感は同じ。先日、人生初の“聞く”怪談に行ってきました。

 三遊亭圓朝による落語『真景累々淵』。桂歌丸さんによる名調子で、全97章からなる演目のうち「湯灌場から聖天山」を聞いたのですが、約1時間の長さを感じさせないほど、ぐいぐいと引き込まれていきました。実は、『真景累々淵』は怪談と銘打たれていますが、幽霊はほとんど出てきません(私が聞いた章には、一度も出てきませんでした……)。ただ、話が進むにつれ、お腹の底がひやりとするような、怖さがあります。それは、人間の怖さ。この章の主役・お賤は、主人である名主の惣右衛門を浮気相手の新吉に殺させるのですが、殺人に気づいた甚蔵に金の無心をされ、結果、甚蔵にも手をかけます。発端は、こわごわと犯した一つの殺人だったのに、次々と事が大きくなってきて、だんだんと殺すことに躊躇しなくなっていく。その心理状態を巧みな歌丸さんの描写が煽ります。最後は、ついに真相がわかるかも!という絶妙なタイミングでの幕引き。

 あまり体調がよくないと聞いていた歌丸さんですが、この1時間は、その気配は微塵も感じさせない様子。「続きは来年で!」という言葉を楽しみに、来年の夏も怪談を聞きに行きたいと思います。

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エディターMORITA

物心がついた時からパンツ派。今、一番興味があるのは、どうやったら居心地のよい部屋で暮らせるのか。美容、アート担当です。

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