親族の住む田舎に帰ると、ほうきで掃除している光景をよく見ます。「ほうきで掃く」という行為そのものが詩的で美しい。それに木床や畳は特にほうきの方が、掃除機よりツヤツヤときれいに仕上がり、理に適っている気がします。
昨年の京都出張の折、取材で訪れたのが三条大橋の内藤商店でした。江戸時代に創業という老舗中の老舗で、ほうきやタワシを昔ながらのディスプレイで売っています。職人が伝統的な製法でつくる品々は、色のトーンもシック。ストイックなお店の佇まいはレトロを通り越して、むしろモダンな格好良さを感じます。その雰囲気に圧倒された私は、こちらの二つを買いました。右はカヤの根を束ねたタワシ、左はきび製のミニほうき。
身の回りに、カゴやザルが好きで集めてしまうという方が多いのですが、かつてその隙間を何で掃除するか、という話で盛り上がりました。気にしない派(私はここに所属)、歯ブラシ派、布でこする派……。あのとき、このカヤのタワシがあったら……、皆さんにおすすめしていたはずです。こちらはまさにカゴやザルの隙間を洗うのに適しています。一見ポキポキと折れそうな細さですが、とてもしなやか。掃除をするときの手ごたえにはある種の快感すら感じます。
ミニほうきはちょっとした床掃除にもいいのですが、衣類用ブラシとしても使えるとのこと。私はラグやクッション、ソファーなどを掃いています。このときの「サッサッ」という音にもなんだか癒される。自分には到底出来ない、いわゆる「丁寧な暮らし」というものを実践しているような気分にもなれます。
ほうき生活に少しでも興味がある方は、私のようにまずは道具から入るのがいいと思います。「餅は餅屋」という言葉がありますが、まさに「ほうきはほうき屋」。京都へお出かけの際はぜひのぞいてみてください。
ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。