デザイナー、ポール・スミスの軌跡

ユーモラスでチャーミングで、そのうえ高身長でものすごくかっこいい、無敵の69歳。世界中で愛されるブランド、 Paul Smithを手がけるデザイナーは、誰もが憧れる魅力の持ち主。彼はどのように自身のブランドをスタートさせたのか。世界中のファンを虜にするクリエーションの源は一体どこにあるのか。あるいはもっと単純に、彼は何が好きなのか。そういったポール氏の秘密の脳内をパカッとさらけ出したようなエキシビションが、いよいよ日本にやってきました。ポール・スミス展 「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」。開幕を飾ったロンドンのデザイン・ミュージアムでは歴代最多の入場者数を記録したという、注目の展覧会です。

現在開催中の京都近代国立美術館に行ってきました。7つの部屋で構成される約2,800点もの展示物やインスタレーションは、ファッションの枠を遥かに超えた内容で、かなり見応えがあります。その場にいるだけで何か新しいアイデアが浮かんできそうな、刺激的でエキサイティングな空間でした。

中でも印象的だったのが「ポールのアートウォール」。10代の頃からコレクションしてきた絵画や写真が総勢500点、壁一面をびっしりと埋め尽くします。アンディ・ウォーホルやデビッド・ホックニーなどの有名アーティストの作品もあれば、家族や友人からの贈り物までとにかく幅広い。これでもコレクションのほんの一部というから、その膨大な数に圧倒されます。


「ポールのアートウォール」の前に立つポール・スミス氏本人。

それから、何と言っても一番ワクワクしたのは「ポールの部屋」。ロンドンのコヴェント・ガーデンにある、ポールのリアルオフィスの再現展示です。まるで映画のセットのような、色彩あふれるカオス的な部屋。ポールが世界中を旅する中で出会ったオモシロ雑貨やファンからの贈り物の数々は、ブランドのコレクションやショップデザインのアイディアの原石なのだとか。おもちゃ箱のような好奇心くすぐられる部屋は、まさにポールの頭の中そのもののようにも見えました。

このほかにも見どころは盛りだくさん。世界的ブランドの知られざるクリエーションの真髄に触れられる、とても貴重な機会です。日本での開催は京都国立近代美術館を皮切りに、東京、名古屋を巡回します。ぜひ足を運んでみてください。

●ポール・スミス展 「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」
公式HP: http://paulsmith2016.jp/

京都会場
会期:2016年6月4日(土)~7月18日(月・祝)
会場:京都国立近代美術館

東京会場
会期:2016年7月27日(水)~8月23日(火)
会場:上野の森美術館

名古屋会場
会期:2016年9月11日(日)~10月16日(日)
会場:松坂屋美術館

“エディターHAYASHI”

エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと長いベースソロが好物。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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