写真を考える

秋の夜長のおともに、菅付雅信さんの著作「写真の新しい自由」はいかがでしょうか。2010年代の、写真にまつわるさまざまな事象について語られている一冊です。ポートレートやファッション、風景からスチール、ビューティまで。デジタル技術の進歩における変化や、猥褻とされる表現について、現代における美しさとは? あらゆる写真の“今”がまとめて読めるなんて、お得感すら感じます。



本書では写真への批評ではなく、あくまでも客観的な視点で構成されています。フラットな眼差しで、多角的に写真の“今”を見つめる。そのことで、それらを取り巻く環境や、時代感の輪郭が立ち現れてくるような気がします。さらには「自分は今どんな写真をいいと感じるのか?」、「これからの写真はどうなるのか?」などを考える起点にもなりうるでしょう。もちろん、そこまで気負わずに「なんとなく写真に興味があるな」という方にもおすすめしたい。必ず新しい発見がありますし、好奇心がかきたてられる一冊だと思います。ニュートラルな文体ですが、その端々にどこか菅付さんご自身の写真愛が滲んでいるようにも感じられて、そこも好きです。

写真の表現は奥深く、私は今でもよく分からないこと、言葉にできないことだらけです。だからこそ、興味が尽きないしもっと知りたい。この本はそんな欲を加速させてくれます。書店ではっと目に飛び込んでくる美しい赤の装丁が目印。ぜひ、ご一読ください。

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エディターSAKURABA

好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。

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