「どこでもドア」で食べに行きたい豆花

夏のような暑さに体がついていけないわ、という方も多いのではないでしょうか。編集部もこの時期、秋冬シーズンの展示会と入稿の100本ノックでややお疲れ気味。

そんなとき私はつるん、と喉を通るあの感覚を思い出しながら、「マ、マメハナ……」とつぶやいてしまいますね。ついついマメハナと日本語読みしてしまいますが台湾のスイーツ豆花のことです。

こちらはGWに訪れた台南の同期安平豆花の豆花。高雄に住む知人から、台南に行くならぜひと勧められた豆花デザートの老舗です。⚪️⚪️が美味しい老舗の××、という店は、台湾では特別感を主張することなく、他の店と同じようにフツーに街中に佇んでいますが、こちらもまさにそう。色褪せた看板といい、なんの飾り気もない机や椅子に「本当にここがその、美味しいものを出す店なの?」と一瞬ひるみます。が、その簡易な机と椅子が入りきらない客とともに店の外というか道にはみ出すほどの盛り上がりっぷりを見て、「やっぱりここがその店だ」と気づくわけです。

オーソドックスな豆花をノートッピングで頼んでみると、白くふんわりしたかたまりに淡い琥珀色の汁を素早く(というか細かいことを気にしない大胆さで)バシャッとかけてくれます。ぷるぷる震える豆花ちゃんをお盆にのせて汁がこぼれないよう(既にこぼれてますが)席まで運び、さっそくひと口。旅の疲れを洗い流すかのように、つるんと冷たいものが喉を通っていきます。豆の味を妨げないほのかな甘さ。いくらでもわんこ食いできるのではないかと思うくらい、シンプルな味わいです。ふと見ると、お兄さんがエクリュ色の豆乳をなみなみと湛えたドラム缶をよいしょよいしょと運んでいて、食欲をそそります。というわけでおかわり。

今度はあずきをトッピング。ほかにもタピオカ、レモン、緑豆をトッピングできます。豆花自体がさっぱりしているので、どうとでもコーディネートできます。

ちなみにレモンのトッピングを絶賛していた高雄の知人に、「この豆花店と他の豆花店はどう違うの? 何が味をわけるの?」と聞いてみました。「材料の新鮮さですねえ」。え? それだけのこと? 聞いた当初はそう思いましたが、あのドラム缶の光景を思い出して妙に納得しました。新鮮な材料でせっせと作ってさっさと食べてもらう、その繰り返し。作り置きしたり保存料を入れて流通したりしない。妙な色気を出して、ビミョーな”新味”を開発したりしない。そんなシンプルな営みに美味しさの秘密があるんですね。

ところでこんなに薦めておきながら、安平は日本から簡単に訪れられる場所でもありません。台南駅からも少し離れていますしね。バスだとトロトロ乗って30〜40分くらいだったでしょうか。ああ「どこでもドア」で今あの豆花をつるっと、と思う今日この頃です。

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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