人生、あわよくばいいとこどりしたいではないですか。欲張りすぎは裏目に出ますが、愛用中この2本の口紅に関しては、最強のいいとこどり。
まずはSPURでも度々紹介している「ディオール アディクト ラッカー スティック」。細い形状(これは地味に助かります)で柔らかいスティックは、唇の上でスムーズに滑らせることができます。さっと一度塗りするだけで、このままの鮮やかな色が唇にぴたっと貼り付くかのよう。そのつけ心地はしっかりした口紅特有の重さもなく、とぅるんとつややかすぎることもなく、実に軽やか。「こんなの待ってました!」という、口紅とティントリップの“いいとこどり”のような感触なのです。リップクリームなしでも油分で保湿されるので問題なし。正直、出先でリップブラシなぞを用い丁寧に塗っている時間はないのですが、直塗りでムラにならない必至条件もクリア。今使っている「877 ターン ミー ディオール」は、キャンペーンにも使用されていた人気色です。
そして、かなり使い込まれていて見栄えが悪く申し訳無いのですが……。今まさに使い切ろうとしている「シャネル ルージュココ」。特に気に入っているポイントは色。オレンジと赤とブラウンが混ざりあったような「418 ミーシャ」は個人的に万能カラーだと思っています。赤では強すぎるし、オレンジだと夏っぽすぎる、かといってブラウンだと暗い……という身勝手な要望をすべて掬い上げ絶妙にブレンドしてくれたのか! と錯覚するような。そして、その色は結果的に四季や装いを問わずに使えてメリットばかり。鏡なしでもさっと二度塗りしてなじませるだけで完成。こちらもリップクリームなしでもしっとり潤います。口紅だけ塗ったときのパサつく感じもありません。
展示会まわりでPRの方によくお会いする日。友人と映画に出かける日。何度も塗り直したくないし、できれば塗っていることすら忘れてしまう、空気のような軽さで寄り添ってくれる口紅が好きです。この2本はキープ力もありそんな欲張りもかなえてくれるのです。
血の気がなくて眠そうな自分の顔に、ぴっとビビッドな色をさすだけで表情が引き締まるし、そんな鏡越しの自分と見つめ合って「今日も頑張ろう」って思えます。発売中のSPUR7月号でも「『それどこの?』って聞かれルージュ」と銘打ち、美容家やモデルの方々のお気に入りの逸品と、「どこの?」と尋ねられたエピソードを教えてもらっています。
好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。