Hola!! SMALL GOOD THINGS内で勝手に連載中のメキシコ紀行。今回は、可愛いモノ天国・オアハカにおけるバイイングツアーを2回に分けてご紹介します。
オアハカは、市内にも素敵な雑貨店がたくさんありますが、それよりもおすすめしたいのは郊外の村々。一村一品形式で、織物の村、木彫りの村、刺繍の村というふうに村ごとに異なる民芸品を生産しているんです。同じ刺繍でも、村が違えばスタイルも異なります。小さな工房を回って生産者から直接民芸品を買う。それがオアハカの醍醐味なのです!
まずは、前回紹介したホテルで、オアハカ周辺の民芸品が記載されたマップをもらいます。そして、自分の興味のある村々をどのように回るか、プランを立てるわけです。私は今回、印のつけている8か所を回りました。実際に使ったものなので、相当汚いですが・・・すみません。各村にはバスや乗り合いタクシーで行くこともできますが、私は時間を節約するためタクシーをチャーターしました。1日回ってだいたい3000円くらい。
そしてプランニングに役に立つのは『アルテサニアがかわいいメキシコ・オアハカへ』(櫻井陽子著/イカロス出版) この本は本当に素晴らしいです! オアハカの民芸品と手仕事について、知りたいことをすべてを網羅していると言っても過言ではありません。この本を片手に、自分が興味のある民芸品をめがけて、いざ、バイイングの旅へ出発!
1.織物の村、SANTO TOMAS JALIEZA(サント・トマス・ハリエサ)
村の女性たちがそれぞれ織物を持ち寄って販売する民芸品市場が村の中心にあります。テーブルクロスやバッグ、ポーチなどこの村の伝統的な手法で織られた商品が並べられています。市場をぐるっと囲むように工房があり、中に入って織機をみせてもらいました。図案やデザインはすべて代々母親から受け継がれています。幼いころから習得するので、頭と体に完全に染み込んでいるそうです。
この工房の女性は同時に刺繍ブラウスも作っていたので、クロスステッチのものを購入。パープル×ブルーの、ちょっとシックな色合いに惹かれました。
2.水色の教会がキュートなOCOTLAN DE MORELOS(オコトラン・デ・モレーロス)
次に向かったのはオコトラン。金曜日になると中央広場に大々的に青空市が立つのですが、この日は曜日が違ったのでなし。けれどもお目当てはこちら!おとぎ話に出てきそうな水色の教会「Templo de Santo Domingo de Guzman」です。
教会だけでなく、町全体がカラーコーディネートされています。まるでテーマパークにいるような気分に。
常設の市場は、食材を買う村の人々で活気づいています。
3.芸術的な刺繍に出合えるSAN ANTONINO(サン・アントニーノ)
見てください、この細かい刺繍。サン・アントニーノ村のマリア・グアダルーペさんによるものです。まさに今回の旅のハイライト! 芸術品とも呼べるこの刺繍を求めて、世界各国から人々が彼女のお店に集まります。100年以上の歴史を持つこの村の刺繍文化のなかでも、特に注目されるマリアさんの作品。何がすごいって、オアハカで「サン・アントニーノ村のマリアさんのお店ってどっち?」と聞くと、ほとんどの人がわかるということ。もちろんタクシーの運転手だって知っています。だから住所や店名がわからなくても大丈夫です。実際わたしもわかりません(笑)。お店は表が文具店になっていて、「刺繍を見せてください」と言うとお店の裏の工房に通してくれます。そして、マリアさんが笑顔で迎えてくれます。大きな鍵付きクロゼットをマリアさんが開けると、色とりどりの刺繍アイテムがお目見え! その厳重な管理体制から、作品の貴重さをうかがい知ることができます。
こちらがマリアさん。想像していたよりけっこうクールな人柄でしたが、好きなだけ試着させてくれました。びっしりと刺繍がほどこされたブラウスを一着縫うのに、なんと2か月を要すそう。生地にボールペンの下絵を描いてから刺していくそうで、ここでマリアさんのセンスが炸裂します。同じデザインは、二つとありません。まさに世界で一つだけ! 一期一会! プライスはだいたい、ブラウスで7000円、ドレスで15000円ほど。ですが、かかっている手間と品質を考えればまったく高くありません。これが"本物"かぁと溜息。そこらへんのお土産屋さんで売っているものとは、雲泥の差なのです。
作っている人から、作られた場所で、直接ものを買う。とても原始的な売買を体験しました。作家の情熱をダイレクトに受け取ることができるし、同時にこちらのリスペクトも伝えられるから、幸せな買い物だな、としみじみ。そうやって買った洋服には、愛情もひとしおです。
こちらはバイオレット地に白い花柄が刺繍されたもの。刺繍部分がこんもりとふくらんでいるのがおわかりでしょうか?糸をたっぷり使っているからこそ出せる立体感です。
こちらは白地に赤×ブラックのパンジー柄。マリアさんのブラウスは、裾の始末もとてもきれい。シルエットも細身で着やすいです。
4.カラフルな教会でひとやすみ。STA.ANA ZEGACHE(サンタ・アナ・セガチェ)
試着に疲れたら、次は可愛い教会でひと休み。17世紀に建てられた歴史ある教会ですが、20年ほどかけて修復されたそう。コンセプトは、村の周辺でつくられている刺繍のデザインだったというからこのファンシーな描写にも頷けます。
地元の子供たちの憩いの場にもなっている様子。
5.木彫りと刺繍の村、SAN MARTIN TILCAJETE(サン・マルティン・ティルカヘテ)
この村ではアレブリヘスという木彫りの民芸品が有名。木を彫って動物やマリア様モチーフを形作り、自然染料で色づけていきます。工房を見学させてくれたのは、「JACOBO Y MARIA ANGELES(ハコボ・アンド・マリア・アンヘレス)」。村一番の大工房です。その名の通りハコボさんとマリアさんの夫婦で経営している大きなお店で、オアハカでは珍しくかなりオーガナイズされています。
こちらはこの工房で購入した鳥の置物。見ているだけで元気が出てくる色合いです。
けれども私が本当におすすめしたいのは、ハコボさんのお母さんが作る刺繍なんです。このお店からほど近くにある、お母さんのお宅(超豪邸)でこれまた美しい刺繍をみることができます。こちらは洗いをかけられ庭に干されていたドレス。ギンガムチェック柄やストライプ柄に刺繍がほどこしてあり、その色合いがものすごく可愛いんです! でも、「裾の始末がまだなので売れない」といわれて涙。帰国後どうしてもあきらめきれず、ホームページからEメールでリクエストしたものの、今のところ返答はありません……。
この日、お母さんはハコボ&マリア夫妻が経営している近くのレストランで出張ショップを開いていました。向かって右側がお母さん。
お母さんの刺繍はポジティブなムードに溢れています。
私が買ったのはこのピンクのドレス。会社にはちょっと派手すぎて着ていけないけれど、"夏休み感"が満載で大好きです。
買い物に疲れたので、ハコボ&マリア夫妻が経営するレストラン、Azucena Zapoteca(アスセナ・サポテカ)でランチ休憩を。このお店の名物は、ズッキーニの黄色い花が飾られた料理、パハリート。チョコレートソースがかかったお肉はやわらかくて美味!
"いかにもメキシコ"なカラフルな店内は、最高にフォトジェニック!ここではハコボ&マリア夫妻の娘さん(13)が店番をしていました。この小さな村に、同家族が経営する大きな木彫りの工房、お母さんの刺繍の工房、そしてレストランがあるわけです。レストランはオアハカ市内にも店舗があります。娘さんはたぶん、村一番のお嬢様ですね……!
さて、ランチで空腹を満たして休憩が済んだところで、ツアーを再開します! オアハカワイイツアー、まだまだ続きますよ。 次回は、ラグの村や、陶器の村などを紹介。後編をお楽しみに!
ファッション、ビューティ担当。音楽担当になったので耳を鍛えてます。好きなものは、色石、茄子、牧歌的な風景。