色が溢れるパラダイス、メキシコ~メキシコシティ編~

Hola!! 前回アップしたサン・ミゲル・デ・アジェンデ編に引き続き、メキシコの魅力をたっぷりお届けします。今回はメキシコの中心都市、メキシコシティ! 羽田からの直行便が到着するのがこの街です。他の都市に比べるときちんと整備された都会ではありますが、実は治安の悪さは国内でナンバーワンと言っても過言ではありません。とはいえワクワクする見どころは盛りだくさん。バスで1時間くらい走った場所にある、テオティワカン遺跡(紀元前2世紀から6世紀に繁栄し滅亡した宗教都市の遺跡。太陽と月のピラミッドが有名)なども必見ですが、ここでは特にアート好きな方にオススメの、5つのスポットを紹介したいと思います。

1.フリーダ・カーロの青い家

画家フリーダ・カーロが生まれ育ち、のちに夫ディエゴ・リベラと過ごした通称「青い家」。その家は現在博物館になっており、彼女の作品や記念品が展示されています。また、アトリエやベッドルームでは当時彼女とディエゴが好んで使っていた日用品をみることができます。ちょっとした雑貨やうつわ、本棚においてある本に至るまで、いちいち全部可愛い。こちらはキッチンです。壁に「FRIDA」と描かれているのがわかりますか?
彼女の人生は愛と波乱に満ちたものでしたが、この家を見ると、そのポップな色使いや華やかな調度品から、幸せな空気を感じることができます。もちろん、なかには痛々しい作品もあるのですが。こちらの博物館、かなり大人気でいつも行列ができているので、事前予約がおすすめです。

2.ソチミルコで船遊び

続いて、昔湖上都市として繁栄したメキシコシティの面影を残すソチミルコの運河へ。メキシコのヴェネツィアとも呼ばれ、カラフルな船に乗ってお酒を楽しみながらクルージングが楽しめるスポットです。この船、ポップな彩りが現代的に思えますが、昔からこういった色使いだったそうです。花の産地なので、ボートにたっぷり花が飾られることも。先ほど紹介したフリーダ・カーロ博物館でも、ソチミルコで遊覧船に乗るフリーダの写真が飾られていました。

マリアッチ楽団が周囲で待機しているので、船上に呼んで音楽を演奏してもらうもよし、大きなスピーカーを借りて好きな音楽をかけるもよし。1時間半ほどのクルージングを楽しみましょう。こういう場所って観光地化してしまって外国人しかいない、ということが多いですが、ここは現地の高校生たちの格好の遊び場となっているよう。スピーカーで流行りのヒップホップを爆音で流し、皆で腰を振ってダンス&熱唱しながら騒いでいました。青春!地元の人に今でも愛されている場所なんですね。

3.人生で一度はみたいルイス・バラガンの建築

ルイス・バラガン邸を見るためだけでも、メキシコシティに行く価値はあると思います。それくらい素敵なのです。20世紀のメキシコを代表する建築家の、オフィス兼住まいである「ルイス・バラガン邸と仕事場」。なんと世界遺産に登録されています。写真を撮るのは入場料とは別料金だったため、テラスの写真しか撮れなかったのが悔やまれます。ケチらなければ良かった……!窓から差し込まれる光そのものを、まるで家具のように空間に"配置"したり、メキシコ出身ならではの鮮やかな色彩感覚をモダンに昇華したり。メキシコの民芸品のぬくもりとモダニティが溶け合ったハイセンスなインテリアは本当に素晴らしく、何度も何度も訪れてこの光景を目に焼き付けたい、としみじみ思ったのでした。

続いてルイス・バラガン邸のほど近くにある、彼の晩年の最高傑作・ヒラルディ邸へ。前回の反省を生かして、きっちり撮影料を払いました! 
こちらはダイニングスペースに続く廊下。イエローに塗られた窓ガラスから入る黄色い光が、室内をやわらかく満たしていました。

そして廊下を抜けると、プールのあるダイニングスペースへとたどり着きます。この空間が、とびきり美しいんです。抽象画の世界に迷い込んだのかと錯覚させるほど。

ゼリーのように見える水色のかたまりがプールです。手前に赤い柱があり、奥の青い壁を光が斜めに照らしています。この光が時間によってはもっと強く入り、青い壁上に白い直線が走るのです。違う角度から見るとこんな感じ。だまし絵のように見えますね。

ルイス・バラガン邸、ヒラルディ邸ともに、事前予約が必要です。ヒラルディ邸は家の持ち主である夫婦が説明をしながら案内してくれるので、理解も深まります。色と光の魔法に触れてみてください。

 

4.メキシコ国立自治大学の巨大壁画に圧倒される

見てください、この巨大なアートを。こちらはメキシコ国立自治大学の中央図書館の壁画です。アメリカ大陸で2番目に古い由緒ある大学で、キャンパス全体が街なの?というくらい広いんです。大学内にはディエゴ・リベラをはじめ壁画の巨匠たちの巨大アートが設置されています。中央図書館の壁画を手がけたのは、フアン・オゴルマンという建築家。4つの面にそれぞれ別のテーマ(アステカ文明/スペイン植民地時代/太陽と月・宇宙・科学・政治/現代メキシコ・メキシコ国立自治大学)が描かれており、その緻密な描写を眺めていると1時間なんてあっという間に経ってしまいます。この日、大学はヴァケーションだったようですが、学生たちがのんびり芝生で寝転んでいました。

こちらは1920年代~30年代のメキシコ革命下における壁画運動を牽引した巨匠・シケイロスの作品《民衆から大学へ、大学から民衆へ》。半分は工事中でした。立体的に描かれた人間が、コンパスや本を持った手を突き出しています。「知は力なり」とでもいいましょうか、毎日見ていたらものすごく知識欲を掻き立てられそう。これはサイドから見たところ。もりっと盛り上がっています。それにしてもすごい迫力です。

 

5.ディエゴ・リベラの壁画でメキシコの歴史を俯瞰

ラストに紹介するのは、国立宮殿にあるディエゴ・リベラによる壁画《メキシコの歴史》。あまりにも有名ですが、絶対に外せないスポットです。この壁画には、アステカ建国から、先住民たちの暮らし、スペインによる征服・支配、そして独立・革命にいたるまでの壮大な歴史が、ダイナミックに描かれています。その目的は、文字の読めない民衆にも、絵を通してメキシコの歴史を伝え、結束と誇りの回復を訴えることでした。
こちらには、フリーダ・カーロも描かれています。探してみてくださいね。

最後に、メキシコシティは、観光地化されているとはいえ、まだまだ治安が安定しない場所です。流しのタクシーには絶対に乗るな!と現地のメキシコ人に言われましたし、道を歩いていたらいきなりマフィアに囲まれた、という知人もいます。というわけで今回、万が一に備えてメキシコシティだけは日本で車の手配を済ませ、空港からホテルまで、すべての目的地をその車で回りました。私は日通ペリカントラベルネットのメキシコ店で英語の話せるドライバーを予約。旅のアドバイスからスケジューリングまで、丁寧に対応してもらいました。おかげで行きたい場所をくまなく回ることができました! 1日300USD程度と、決して安くはないですが、バスを調べたりタクシーを呼んだりする手間や、安全面を考慮すれば高くないと感じます。旅は命の安全があってこそ! 参考にしてみてください。さて、次回は雑貨と刺繍天国・オアハカ編をお送りします。

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エディターITAGAKI

ファッション、ビューティ担当。音楽担当になったので耳を鍛えてます。好きなものは、色石、茄子、牧歌的な風景。