SNS時代の「脳疲れ」に、鈴木康広の「始まりの庭」展

脳が疲れてるな~ってこと、ありませんか?  頭皮マッサージやらヘッドスパが流行りましたけど、そういう次元では解決できません。脳自体が、いつでも力が入って緩まない。月並みで短絡的とそしりを受けても、やはりSNSのせいにしたくなります。次から次へひっきりなしに入ってくる、脈絡のない断片的な情報が脳をその場しのぎの処理に駆り立て疲れさせるのだと。

さて、そんな固まった脳をちょっとほぐしてくれたのが「始まりの庭」展でした。連休中に訪れた箱根 彫刻の森美術館で見かけた、”鏡の上のリンゴ”が可愛くてふらりと入ったのです。
展示室一階に広がるのは、白い紙の落ち葉。葉っぱ作りに参加できるコーナーもあります。カットされた白い紙を濡らし、葉脈が刻まれたガラスの型にのせ、上からスーパーボールで押し付けると出来上がり。鈴木さんいわく、「紙は木材を原料に水の中にうまれた素材」。あ、そうか。葉っぱと紙が繋がりました。
他にも、飛行機から見た海上の船がファスナーに思えたことから、実際に人が乗れるファスナー船を作って瀬戸内海を「開いた」り。けん玉の技「とめけん」に、引力を通じて地球の中心と繋がることを見出したり。
とにかくモチーフが身近で、可愛くてきれい。くすりと笑えるお茶目さもたっぷり。作品を読み解くのに、小難しい知識や文脈も必要ありません。子供の頃、「●が□に見える」なんて延々と妄想していたのを思い出しました。
肩を丸めてひたすら携帯をいじり、うつむいてばかり。それじゃあ、世界も狭まり脳も疲れますわな。そんなことに気づかせてくれたアート展でした。

 

ミュージアムショップで購入した、鈴木康広氏デザインの「紙の葉イチョウ」。東京大学のイチョウから採取した型で作られています。本のしおりに、同僚へのメモに。ほっこり和めるアートです。

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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