9月も後半に入り、日が落ちるのが早くなると、夏が終わったんだな、と実感します。あまりにも暑かった今年の夏ですが、実際に終わるとなると寂しいもの。花火も見ていないし、かき氷も食べていないし、もっともっと夏を味わいたい! そんな不完全燃焼の夏を過ごした方にも、目一杯満喫した方にもおすすめなのが、9月21日に公開となった2018年の一番アツい映画『パパはわるものチャンピオン』(藤村享平監督)。
えっプロレス? しかも映画? と戸惑った方、ぜひ何も考えずに映画館に足を運んでください。私自身、プロレスに興味があるとは決して言えなかったのですが、9月号で「棚橋弘至の人生相談室へようこそ」を担当したことで一変しました。プロレスといえば、身体ひとつで戦っているというかっこよさが第一にあると思うのですが、試合を見たり、さまざまな資料を読んだりするうちに、それだけでなく、一人一人の選手が物語を持っていて、観客と一緒にそれを作り上げていることを知ったんです。常に多くの人の気持ちを背負って戦っているからこそ、棚橋選手の言葉は説得力をもって響くのだなと実感しました。
さて、その棚橋選手が主演する映画『パパはわるものチャンピオン』は、ある一人の選手とその家族の物語。棚橋選手演じるエースプロレスラー、大村孝志はケガをきっかけに、試合から長期離脱。それから10年、かつての強さを取り戻せずに、悪役レスラー“ゴキブリマスク”として戦っていました。もちろん悪役レスラーであることにも誇りをもって戦っていたのですが、息子の祥太に仕事を知られ、「わるもののパパなんて大嫌いだ」とショックなことを言われてしまいます。それをきっかけに孝志が再び奮起して……というストーリー。
ある一定の年齢を超えた大人であれば、一度は何かをあきらめた経験を持つと思うのですが、この映画は、そんな大人たちへ優しい目線を向けてくれる作品です。しかも試合のシーンは、棚橋選手をはじめ、新日本プロレスのレスラーたちが演じているので迫力があり、思わずかけ声をかけたくなること請け合い。試合のシーン以外にも、さまざまな選手が出ているので、それを探すのも楽しいです。暑かった今年の夏の締めくくりに、ぜひどうぞ。
物心がついた時からパンツ派。今、一番興味があるのは、どうやったら居心地のよい部屋で暮らせるのか。美容、アート担当です。