「その眉毛、古いです!」と言われて

先日衝撃的な体験をしました。お恥ずかしい話ですが、聞いてください。
メイクアップを本格的に始めた高校生〜大学生の頃は茶髪カルチャーが世を席巻しており、眉毛は髪に合わせてアイブロウマスカラで明るく染めるものというのが常識でした。社会人になり、茶髪ブームが去り、黒髪全盛期に突入。自分も髪を染めなくなってから7年ほどたちますが、地毛がほんの少し茶色いため、眉毛はやはり茶色にすることが正義と信じて生きてきました。

ところが先日、某メイクアップアーティストの方と眉毛の話になったときのこと。「ところでイタコさん(私)、なんで眉毛茶色いの?」と言われたんです。「え、だって、眉毛って茶色くするものって(昔雑誌で)習ったから……」としどろもどろに答えたところ、ひとこと。「今時ね、眉毛茶色くしてる人なんてほとんどいないわよ?茶眉イコールお芋ちゃん!今すぐ茶色い眉マスカラは、ぜんぶお捨てなさい!」と。

その瞬間、ズシーーーーーンと衝撃が走りました。今まで疑いもしなかった常識が、古くなっていたなんて!「眉を明るくすると、垢抜ける」というキャプションを読んだのは、そういえば何年前のことだっけ。「今は、黒々と艶めく逆立った眉毛がトレンドよ」というそのメイクアップアーティストのお言葉をすぐには受け止められず、そこからは世の女性の眉毛観察が始まりました。渋谷から原宿、表参道に代々木上原、池尻大橋から中目黒、目黒から広尾、人形町から浅草まで……歩いてひたすらすれ違う女性の眉毛をチェック、チェック、チェック。古着屋さんでチェック、レストランでチェック、電車でチェック。インスタグラムでも、モード誌はもちろんいわゆる赤文字系、ヘアサロンやモデルちゃんのアカウントまで幅広く訪れ、女性の眉毛をただただ凝視。眉フェチの変態になった気分でした。もうほとんどアイブロウズ・ハイ状態。そうして観察結果から、さらなる衝撃がもたらされました。「茶色い眉毛、確かに少数派だわ……」。いや、いることにはいますよ。私調べで2割くらい。でも、今のムードをまとっている女の子は、だいたい眉は黒寄り。そもそも茶髪が流行ってないから、茶眉が少ないのは当たり前なんです。逆にヘアカラーの盛り上がりに応じて、赤やピンク、紫などのカラー眉毛は流行っていますね。

「女性は自分が一番輝いていた時代でメイクアップが止まりがち」といいます。いつまでも過去の化粧を引きずっている人を見るにつけ、私はこうならんぞと気を引きしめていたのに、自分がまんまと陥っていたとは。もちろん、人には似合う似合わないがありますし、そもそも化粧に正解はないと思っています。したいようにすればいいし、千差万別でいい。誰にも文句を言う権利はない。でも! その時代その時代で美容の価値観が変わっていくことは確か。特に眉毛は時代背景を移して変化していくものなので、こまめなアップデートが必要なんですよね。モード誌編集部にいながらにして、そんな基本のキに気づかなかったとは……。この衝撃をとあるビューティライターさんに話したところ「イタちゃん、おしゃれでやってんのかと思ってた〜(笑)」と。気づいてたなら、言って!

前置きがスーパー長くなりましたが、じゃあ、今の「黒々と艶めき、逆立ったイケてる眉毛」はどう作るのか?そこで別のライターさんにお勧めされたのが、キャンメイクのクイックラッシュカーラーです。これで眉毛を上へ上へととかし上げれば、ツヤツヤの黒眉毛の出来上がり。コームタイプなのでドバッとつくことはないのですが、さらにアイブロウ用ブラシでとかすと、より自然に。はじめてやってみた日、自分に対して、あ、この人今っぽいと思ったほどには顔が垢抜けてびっくり。体に染み付いたセオリーにしがみつかず、メイクアップをこまめにアップデートすることの大切さを学んだ赤っ恥事件でした。

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エディターITAGAKI

ファッション、ビューティ担当。音楽担当になったので耳を鍛えてます。好きなものは、色石、茄子、牧歌的な風景。

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