今こそ「映画を食卓に連れて帰ろう」

趣味のひとつに「料理本の蒐集」がございます。料理自体もそれなりには好きですが、どちらかというと料理本を読んで味を想像している時間のほうが断然楽しい。最近ですね、私が心の底から名著!!と思っている本が愛蔵版として再発売されたんです。これ!ほんとに!みなさまに手に取っていただきたく全然関係ないのですが語らせてくださいませ。

「シネマ&フード 映画を食卓に連れて帰ろう」(写真右・KADOKAWA刊)がこのたび発売された愛蔵版なんですけど、1999年に刊行された「映画を食卓に連れて帰ろう」(写真左・同文書院刊)がそもそもの元祖です。こちら、2016年に惜しまれつつ閉館してしまった伝説の渋谷のミニシアター「シネマライズ」が公開する映画のパンフレットに載せていた「映画×料理」のページをまとめ単行本にしたもの。料理を担当するのはめっちゃくちゃお洒落でかっこいいフードユニットのCUEL、フォトグラファーは小泉佳春さん。「映画×料理」といっても劇中の料理を再現するとかではなく、「えっこうくるの!」という新鮮な驚きがいつもあり、スタイリングも写真も本当に素敵で当時大学生だった私はひそかに「将来は編集者になってこんな本が作りたい!」などと夢想していたのでした。先日、食料買い出しのついでに久々に近所の書店に寄ったのですが、新刊のタイトルを二度見してクレジットを確認して本当に叫びそうになりました。ちょっと待って20年以上前の大好きな本が2020年の今見られるなんて! 誰この企画立てた方!ご迷惑かもしれませんが金一封などを差し上げたい!

CUELのメンバーであるハギワラトシコさんのこちらもおすすめ。1997年刊です。料理の向こうにストーリーがある料理本って、当時あんまりなかったなと思います。
CUELのメンバーであるハギワラトシコさんのこちらもおすすめ。1997年刊です。料理の向こうにストーリーがある料理本って、当時あんまりなかったなと思います。

当時ジェーン・バーキンになりたかった私、もちろんシネマライズという映画館も本当に憧れの映画館でした。『ポンヌフの恋人』『ブエノスアイレス』『ハイヒール』『カウガール・ブルース』『まぼろし』……この本でテーマになっている作品の目次を見るだけで胸がいっぱいになるのですよ2020年の今でも。料理もですが映画の紹介ページもすごく充実しており、なかなか映画館に行けない今、おうちでこの名作たちをもう一度観ようかななどと思っています。ちなみにミニシアターを応援するためのクラウドファンディングなども最近始まっておりますよ。早速参加しました。

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エディターOKUDA

ミニマリストに憧れながらも、己の物欲と食欲から逃れられません。好物は生ビールと生牡蠣と生肉、そして大きなイヤリング。

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