自粛期間中、これほど子どもと過ごしたことってなかったな。一緒に過ごすのもいいな。ファッションとか、どうでもいいかもしれないな。なんて、正直、モード魂が消えかけている自覚がありました。非常時にファッション誌ができることはなんだろうと、無力感に包まれることも。
幸いにも、緊急事態宣言が解除され、少しずつ街が動き出しました。次の企画に向けて、お店をリサーチしてみることに。向かったのは同僚と同じく新宿伊勢丹です。どんな工夫がしてあるのか、確認だけするつもりでした。ところが、2階のシューズフロアで見つけてしまったのです。2018年の夏に出合って、でも買えなかった、ディオールのメッシュショートブーツ「ノーティリー ディー」に!!
あれは2年前の夏のN Y。撮影で一緒になったスタイリストさんがヴィンテージデニムにこの靴を合わせている姿がすっごく素敵だったのです。気負いないけどちょっと色気があって、程よいボヘミアンなムードとレトロなシルエットが絶妙だと一目惚れしました。「真似していいですかぁぁぁ!」と前のめりに確認し、N Yのお店を巡ったけれど在庫なし。帰国後直営店に行くと、当時は日本で仕入れていないということでした。いつしかそれは「好きだったけど告白できなかった人」みたいな、いい思い出に。
それがですよ、定番になって日本でも買えるなんて、知りませんでした! 見つけた瞬間、血が逆流するといいますか、めっちゃ鳥肌がたちまして、すぐさま試着。これがまた、想像以上に履き心地がいい! 3センチヒールのバランス感最高! メッシュの肌あたり最高! 素肌と靴下で印象違うの最高! もう、やっぱり大好きじゃん、私!! とひとり興奮しまくりです。そして、店員さんの「お似合いですよ」がダメ押しですよね。いつの間にかカードを渡しておりました。
ああ、モード魂が消えかけていたなんて、ウソです! やっぱりファッションっていい。アガる。明日も頑張ろうと思える。
誰かにとって、ファッションがパワーになるような、そんな仕事をしよう。そう、決意を新たにしたのでした。
顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。