以前、とある著名な調香師の方に取材する機会がありまして、「なぜ、日本では石鹸系の香りがこんなにも売れていると思いますか?」 と聞いてみたことがあるんです。その方はすかさず「おそらく、生まれてから幼少期までで最初に出会う香りが、洗い立ての洗濯ものの香りだからなのでは?」との回答をされました。つまりは、石鹸の香りが潜在意識に刻まれていて、無意識に求めてしまう。あるいはその香りに対して抵抗がない、ということだったと思います(確か)。
それでいうと、私にとって蚊取り線香もそういう香りなのかもな、と思います。蚊取り線香の香りを嗅ぐと「ああ、夏が来たなあ」という郷愁にも似た感覚とともに、夏休み必ず遊びに行っていた祖父母の家、従兄弟たちと畑にできたスイカを一緒に食べたことなんかを思い出すのです。香水みたいに常に身につけていたい、という香りではないのですが、空間に漂うと胸がキューンとしますね。だから、蚊取り線香存在そのものも、どちらかというと好きなんです。で、こちらの蚊取り線香です。これはある時SNSを見ていたら、タイムラインに流れてきて、その佇まいに胸を射抜かれ、すぐにポチりました。はい、一目惚れですね。
サーカスの像がボールを持ち上げるように勢いよく蚊取り線香を持ち上げる。この真鍮性のホルダーが、なんとも可愛くて(ちなみに使う時はこれに受け皿が必要です)。ちょっとファンタジーな雰囲気も気に入りました。さらに蚊取り線香自体も明治43年創業、和歌山県にある紀陽除虫菊株式会社という老舗が製造した、天然成分を中心につくられたものだそう。幼少の頃からなじみのあったあの香りとはまた違いますが、刺激が少なくて、こちらも落ち着きます。 (個人的には、あの昔ながらの金鳥のモチーフも結構好きだったりしますが)玄関とか、リビングに置いておいても空間になじむ、インテリアを邪魔しない佇まいも良いです。
こちら、旅するパン屋を標榜するTAKIBI BAKERYというお店が企画してるようで、「TAKIBI BAKERY 蚊取り線香」で検索するといくつかのオンラインショップが見つかります。部屋だけでなく、アウトドアの時にも便利そうですよね。
主に美容担当。山登りなど自然に触れることが好き。最近は健康とかインナービューティとかいう言葉にめっぽう弱くなりました。