何度引っ越しをしても手放せない本がありませんか? 私にとって『るきさん』がまさにそう。親元を離れ、上京してひとり暮らしを始めた大学生時代。書店でアルバイトをしていたときに、カルチャー好きの先輩から教えてもらった一冊だったような。
![『るきさん』は雑誌Hanakoで1988年〜1992年まで連載された、高野文子先生の漫画作品。前編カラーで、その色合いも素敵です。](https://static-spur.hpplus.jp/upload/image/manager/36/ISJFgCk-1200.jpg)
お医者の保険の請求をする在宅ワーカーの“るきさん”は、ひと月分の仕事が1週間で終わっちゃいます。同じスニーカーを3足持っていて、古道具店で火鉢を買って炭火焼きをしてみたり、丸一日お風呂で過ごすプランを妄想してみたり、電車での居眠りが得意で“山手線のスリーピングビューティー”と親友のえっちゃんに名付けられる、るきさん。誰かと比べて自分を卑下することもないし、恨むこともない。マイペースで毎日を楽しむ姿がほのぼのしていて、とても癒されます。その分、親友のえっちゃんが俗っぽい悩み(例えば、るきさんのご近所さんに、独身なのに既婚者だと思われた!とか)をちょいちょい挟んできて、考えさせられます。既存の価値観にとらわれたくないと思いつつも、心のどこかで引っかかってしまう感じ。高野文子先生の漫画のタッチも大いに関係ありますが、この軽快なのに考えちゃうバランスがとても洒落ているのです。それは初版から28年経っても色あせません。
そんなるきさんのオリジナルグッズを展示販売する「るきさん in 銀座蔦屋書店」が9月30日まで開催中なのです。私にとっての“えっちゃん”がLINEで教えてくれまして、るきさんのように(心の中で)スキップしながら行ってきました!
前のめりで購入したのがハンカチーフと切手風シール。複製画の展示販売や高野先生のメッセージもありました! 小さなコーナーでしたが、大好きなるきさんに会えたような気がして、ニマニマしてしまいます。
![エディターKINUGASAプロフィール画像](https://img-stg-spur.hpplus.jp/article/parts/image/e4/e40af42b-4995-4fbf-b443-6e7842dd4322.jpg)
顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。