「中年の危機」ってコトバが気になったら

 昔からジュリー・デルピーのファンなんです。いかにもフランス人女優といった、アンニュイで知的なムードが好きで。

そんな彼女が脚本、監督、主演も務めるというのですから! しかもバリキャリ女性やシングルマザー、求職中の主婦など4人の女友達が、中年の危機と向き合うというストーリー。見ずにはおられません。

NETFLIX配信のドラマ「まさに人生は」(原題は「ON THE VERGE」)。なぜか邦題をいつまで経っても覚えられず、周りに勧めまくるのはいいが「ええとタイトルは、“人生とは”だったっけな……」となってしまうのですが、とにかく面白い。

ジュリー・デルピー演じるシェフ、ジュスティーヌの装いも素敵。彼女にならい、髪を無造作にまとめてバンダナを巻き、めがねに赤リップでつなぎを着て、ビンジウォッチングしましょう。

まず、共感するんです。長年連れ添ったパートナーにゲンナリする瞬間とか。「うちの子はハンサムで優しくて~」なんて言いながら、息子にチュッチュチュッチュやるさまなんかも、自分だけじゃないんだ、と思えたり。それなりに生きてきたつもりなのに、滑稽でイタイタしい中年の自分。それがウィットに富んだ演出でつづられ、思わずウフフと笑ってしまうのです。

ただ、リアルな共感だけだとツライ。そこがこの作品の絶妙なところで、ファンタジーの要素があるというか、後半になるにつれ、「え? このキャラ、こんな設定なの?」とか、サスペンスフルな展開があったり、「おお~」というロマンスが生まれたり。ぐいぐい盛り上がっていきます。

脚本も、ちょっとした仕掛けも冴えてます。個人的に好きなのは「カラスかワシか」のくだり。ジュリー演じるシェフの店にハリウッド・セレブが来るところにも、シャレがきいてますよ。エピソード1冒頭の“戦闘シーン”は、のちのちの伏線となるので、ぜひ覚えておいてください。

そんなわけで、才能あふれるジュリー・デルピーがますます好きになりました。「SEX AND THE CITY」ほどキラキラ爆盛りではないけれど、ヘルシーでウォームな世界観が今らしい。40代・50代にはドンピシャでしょう。1話につき30分強と軽やかなのも、忙しいこの世代におすすめできる理由。20代・30代は、どうかな? 純粋に、ドラマとして楽しめると思いますけどね!

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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