プライスレスなお買い物とは、このことです

昨年、大切に履いていたロングブーツの靴底がベロっと剥がれました。編集部で「あああ」と嘆きながら応急処置を施したのですが、心の中はというと、かなり、かなりショックでした。

遡ること数年。それは、学生時代にデ・プレで働くスタッフさんの履きこなしに憧れゲットした一品でした。「Y2Kファッション」がトレンドキーワードに上がる今、ロングブーツというとギャルカルチャーを思い出す人も多いのかなと思います。しかし、私の中でのイメージはむしろ真逆。ミモレ丈のスカートから覗く長い筒は、肌の露出を抑えた大人な着こなしという印象です。当時特に憧れたのが、スタッフさんのスリット入りスカートとの合わせ。立っている時は布とレザーとに覆われてみえるのに、歩くと動作に伴って切れ目からさり気なく素肌がのぞく。そんな機微がスタイリングに奥行きを生んでいる気がして、「こんな装いが似合うかっこいい女性になりたい」と、購入に至りました。

思い出深い一品が寿命を迎えたかもしれない事実に、じわじわと悲しい気持ちが込み上げた刹那、ふと思い出したのがSPUR9月号の『リペアの天才はここにいる!』という記事でした。取り上げられていたのは、靴のお修理を手がけるリペアショップ、PIGGYSさん。ちょうど1月号の『SPOの「スモール・グッド・ギフト」名品』のアンケートでも、R.ALAGANデザイナーの高橋れいみさんが「驚くほどきれいに直していただいた」と太鼓判を押していました。「大切なアイテムを預けるなら、信頼のおけるお店に」という思いのもと、私も後日せっせと東京・門前仲町へ。年末、修理が完了したブーツを受け取ってきました。

この日はパンツスタイルにロングブーツをオン。
この日はパンツスタイルにロングブーツをオン!

まず声を大にして言いたいのは、「お願いして正解だった!」ということ。リペアと言っても決して安価なわけではなく、人によっては安めのものを新調した方が早い、と思うかもしれません。ですが、自分の足にしっくりと馴染み、レザーに自分の人生が少しだけ滲んだような一足がきれいになって帰ってくるのは、想像以上に嬉しい出来事でした。

剥がれた靴底の貼り直しだけでなく、今回は履き込んで削れた踵も修繕。元々ウッディ調だった靴裏は、ブラックでモダンに仕上げていただきました。お修理どころかアップデートされて戻ってきたロングブーツは、以前に増して愛着が深まった気がします。これからも大切にこの一足を育てながら、憧れの女性像に近付くべく、内面も着こなしも磨いていきたいです。

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エディターSASAYAMA

周囲の人の着こなしが気になって仕方ない私服ウォッチャー。
街でも目を光らせています。ミニマルで、少しひねりのある服が好きです。

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