10年ぶりくらいにCDを買った話

以前、趣味は“音楽を聴くこと“だったのですが、最近はとんと。毎日無音デス、と言うとほぼ全員がドン引き。音楽を全く聴かないって、珍しいようで……。15年くらい前、趣味が高じて“音楽記事担当“をつとめ、仕事のためもあり新作を次々と消費する状況にあったのですが、ちょうど任務が終了した頃、拒否反応が出て音楽を聴きたくなくなってしまいました。どんな音楽が好きですか? という質問に「特にない〜♪」なんてそっけなく答えてしまうことも多々。

ところが、大晦日に何気なく見ていた紅白で変わりました! 藤井風さんの演奏が「きらり」と光った瞬間に、心を奪われてしまったのです(同じ流れの方、たくさんいらっしゃったのではないでしょうか?)。以前より編集部内にファンも多く、もちろん、大変人気がある方だと存じていました。が、視野が狭くなっていた自分としては、遅まきながら一気に世界が開けた感じ。こんな才能、「どこにいたの♪〜」という嬉しい喜びとともに“ハマり“始めました。

日々慌ただしい中、小難しくなく、何かしながら流していてもスッと耳に入ってくる音楽が、無音生活からのリハビリとなっています。親しみとユーモアのある歌詞が、普遍性のあるメロディーと合わさり、シャレた現代的なアレンジに乗って届けられる。決してすぐに“消費される“音楽なんかじゃない。

何よりも、色々しんどいことがあった1日の終わりに彼の曲を聞くと、理屈抜きに前向きな気分になれる。決してあからさまな応援ソングなどはないのですが、人々のどうにもならなかったり、些細だったりする日常が美しい、と寄り添うような姿勢が彼の創作のコアかと感じています。「帰ろう」という楽曲を聴いた際には、20代にしてこのような人間観に到達していることに、驚きを覚えました。

↑彼の真骨頂であるカバー盤に加え、写真集もついてます!

そんな藤井風さんのニューアルバム「LOVE ALL SERVE ALL」。YouTubeの公式アカウントで配信されたリスニング・イベントにも参加しつつ、躊躇なく初回限定版のCDをゲット。発売日はまさに「まつり」でした! 何年ぶりに買ったCDでしょうか? 一番の狙いは、ここにのみあるカバー曲です。大好きなBobby Hebbの名曲「Sunny」をはじめ、アリアナ・グランデからブリトニー・スピアーズまで、弾き語りカバーしています。これを原曲と聴き比べするのが最高の時間なんです。このオリジナルどうやって引き出したの⁉︎ というコードが心地よくグサグサとささる。クールな解釈に痺れます、「やば。」と。

“趣味“って普通は一人の人に集約しないものかもしれませんが、最近の私にとって“趣味は藤井風さん“。それだけ彼のクリエーションには、大きな宇宙が広がっている気がします。
ちなみにただいま絶賛校了中の6月号(4月23日発売)の特集は、まさに“趣味“。趣味こそが生活を豊かにする、とはよく言ったものですが、私的な経験からもますます確信を得て、この号を世に送り出します。どうぞお楽しみに。

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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