学生時代からモード誌のコレクションスナップを隅々まで熟読していた私。SPUR編集部に異動になり、大好きなスナップ企画を初めて担当できた時は感無量でした。ロンドンでは斎藤久美さんにお世話になることもしばしば。誌面のクレジットで憧れていたフォトグラファーの一人でしたので、彼女から届いた写真を一番に見れる読者として、とっても光栄に思っていました。スナップだけでなく、ライフスタイル取材やポートレート撮影などでも多岐にわたってお世話になった斎藤さん。2020年12月にロンドンで他界されたと聞いた時は本当に悲しく、感謝の念に耐えませんでした。
写真集のタイトルは斎藤さんがショー会場を出入りする人々を撮影するとき、よく口にしていたフレーズ。この一言から会話が弾み、被写体の自然な表情を引き出していたそう。ページをめくれば、2003年のサラ・ハリスや2005年のルシンダ・チェンバース、2008年のアギネス・ディーンなど、憧れの面々が登場します。それだけで私は胸熱!! しかし、ノスタルジーだけではありませんよ! 当時のことを知らない方が見ても、オシャレの参考になる着こなしが満載。特に、00年代のローライズ全盛期のスタイリングは、再燃しそうなブームの前に復習ができるはず。デニムのブーツインスタイルや、一世を風靡したエディターズバッグなど、1周回って気分かも!と発見があります。
ストリートとモードが交差するコレクション会場のスナップ。その歴史も感じることができる珠玉の一冊です。ぜひ多くの方に見てほしいです!
顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。