2023.06.09

人生に、ファッションの楽しさを借りなくちゃ! 【ロジェ ヴィヴィエ】のメリージェーンがお供

先日、柄にもないお買い物をしてしまいました。購入したのは、真っピンクに輝くメリージェーン。ゲラルド・フェロー二が手掛ける、ロジェ ヴィヴィエのものです。

ロジェ ヴィヴィエのメリージェーン
ロジェ ヴィヴィエのメリージェーン ¥154,000

普段モノトーンの服装が多い私をよくご存知の方は、きっと驚くお買い物かもしれません(毎日のファッションとはある意味対極の、ヴィヴィッドなカラーリングだから!)。 実の所、購入を決めた私自身が一番驚き、購入後の帰路では、「少し冒険しすぎたか……?」と気もそぞろでした。

パキッとしたヴィヴィッドカラーにキューブ状のビジューが添えられたフラットサンダルは、ブランドが繰り出すファンタジーを詰め込んだような甘いビジュアル。インナーソールには、大きな赤いハートのイラストが描かれています。何ともラブリー!

シンプルな服を着がちな私が何故この一足を迎え入れたのかと言いますと、このところ落ち込んでしまうようなことが続き、心に色がなくなっているな……という思いがあったから。何かとネガティブ思考になってしまったり、自分自身に嫌悪感を抱いてしまったり。そんなスパイラルから抜け出すべく、とびきり新鮮で、ロマンティックなファッションの力を借りたくなったのです。試着後、意を決して「買います!」と言った時は、浮足立ちながらも新しい自分に出会える予感がしてワクワクしました。

ロジェ ヴィヴィエのメリージェーン
シャープなラインに、華奢なストラップとビジューが輝くデザイン。

自宅に帰ると、すぐさま真っ赤なシューズボックスを開き、改めてご挨拶。いつもの薄暗い玄関に、目の冴えるパッションピンクが、新しい景色を連れてきてくれるようでした。光を集めてキラキラとビジューが煌めくのですが、これが本当に可愛い……。大人になって、ピンクや大ぶりなビジューなどを純粋に可愛い!という気持ちだけでまとうことに少し抵抗があったのですが、改めて手にすると凄まじい破壊力。幼少期に胸をときめかせていたピュアな気持ちを思い出します。思わず母にビデオ通話し、「見てこれ、可愛くない⁉︎」と報告したほど。母親も画面越しに「可愛い」と悶絶しており、学生時代に友人と好きなものについて語り合っていたことを久しぶりに思い出してみたり(笑)。やっぱりファッションって楽しいし、誰かとそれをシェアできることって幸せだなと噛み締めました。定番的に使えるアイテムをシックにまとうことももちろん大好きなのですが、ときめき重視の変化球的なものでワクワクが抑えられなくなる体験も、ファッションの醍醐味だなと感じました。

そうなると、どうやってスタイリングするかが目下の課題。るんるん気分で手持ちのボトムスと色々合わせてみたのですが、個人的にグッときたのがスウェットパンツとのコーディネートです。

ロジェ ヴィヴィエのメリージェーン
近頃ヘビーユーズしているグレーのスウェットパンツにこちらを。ころんと再度についかサイコロ状のビジューにきゅんとします。

少し気の抜けたようなイージーパンツとなぜ好相性だったかと言いますと、長い歴史を持つメゾンならではの、アートピースのようなフォルムの美しさと一捻りが装いをピリリと引き締めてくれるから。ジュエリーのようにまとうマイクロミニバッグが昨今のトレンドの一つですが、この一足は、例えるならば”足にまとうアクセサリー”。リラックス感のあるお洋服も、一気にエレガントに、スペシャルに仕上がります。

ロジェ ヴィヴィエのメリージェーン
透け感のあるメッシュ素材との切り替えがほどよい抜け感を生んでいます。

さらに、まじまじと観察して思うのはデザインにおける甘さとエッジィさの絶妙なバランス。きっと爪先がラウンドタイプだと、甘い印象がより強くなっていると思います。このなだらかに尖ったポインテッドトゥのディテールと、そして、サイドで切り替えられたメッシュ素材が良い仕事をしているのです。かかとに向かって少し透けのあるあしらいは、パキッとしたネオンカラーにヌーディーな奥行きも生んでいます。

最新号のSPURのテーマは、ズバリ「ロマンチックな服が好き」。大人のためのロマンチックのヒントが詰まった一冊なのですが、私もこのショッピングを通して、ロマンの威力なるものを実感しています。このお見目麗しい一足を迎え入れ、目も心もまさにピンク色に染まりました。改めて、ファッションがあると人生はもっとハッピーに、楽しくなる!と実感した近頃の ”ビッグ・グッド・シングス"でした!

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エディターSASAYAMA

周囲の人の着こなしが気になって仕方ない私服ウォッチャー。
街でも目を光らせています。ミニマルで、少しひねりのある服が好きです。

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