買い物はどちらかと言えば慎重派ですが、つい財布の紐が緩んでしまうのがミュージアムショップ。特に企画展のオリジナルグッズが並んでいると「ライセンスが厳しいアーティストの作品、買えるのは今だけ」と理由をつけてあれもこれも欲しくなってしまいます。そんな私が先日、最高の誘惑の場に足を踏み入れてしまいました……。それが現在東京都美術館で開催中のマティス展のショップ。噂通りのグッズの充実ぶりで、足を踏み入れた瞬間に思考停止状態に。
既に足を運んだ方も多いと思いますが、今回の展覧会の特設ショップのコンセプトは“マティスを感じる暮らし”。そのためパリのポンピドゥー・センターとマティス財団との協力で開発されたオリジナルグッズのほか、展覧会にちなんでセレクトされたライフスタイルグッズも並んでいます。マティスの作品に触れた余韻と共に日々を過ごせるように、という主催者側の熱い思いを感じる品数の豊富さ。通常の展覧会の倍以上なのではないでしょうか。Tシャツ、マグネット、クリアファイル、ポストカードといった定番のスーベニールから、スカーフ、レモンケーキにラグからモンステラまで……。うっかりしているとマティスを感じるどころか、マティスに埋め尽くされてしまいそうなラインナップ!
「何を持ち帰ろうか」とうれしい悲鳴をあげながら、私がゲットしたのは写真のグッズたちです。便りを送りたい人の顔が浮かんだ絵柄のポストカードと、美術展で購入するものをコレクションしているのでマグネット、それから鳥形のブローチと図録。なんと今回、展覧会の図録まで装丁が3パターンあって! 好きな作品で選ぶか、デザインで選ぶか、迷いに迷って自宅の書棚に華を添えてくれそうなピンクベースのものに決めました。
戦利品の中で特に気に入っているのが七宝焼きで作られた鳥形のブローチ。マティスが晩年たどり着いた切り絵というスタイル。その際に愛された植物や鳥が今回アクセサリーとなって登場しているのです。ショップスタッフの方に伺ったところ、これまでマティスの作品の中からモチーフのみを取り出してデザインすることができなかったそうですが、今回の展覧会用に交渉し特別に許可が降りてグッズ制作に実現したとのこと。好きな作品がベースとなっていて、さらにそんなストーリーを聞いてしまうと手に入れないわけにはいかない! とやや高額ですが購入することに。七宝焼きならではの優しい白はどんな色とも相性が良く、幅広いスタイルにそっと寄り添ってくれるので、価値ある買い物だったと思います。何より、愛らしい鳥は目にするたびに癒されます。
充実した展示を見て、大満足の買い物を終えて帰宅をしたものの、図録を読むと「あの作品をもっときちんと見たかった」とか、友人が着ているグッズのTシャツを見ると「私も買えばよかったかな」なんて思う今日この頃。会期中また足を運ぶタイミングがないか、スケジュール帳とにらめっこする日々が続いています。
ワードローブの中心はデニムとメンズのシャツ。『スターウォーズ』シリーズに出てくるイウォークに似た犬と暮らしています。