いま応援したい日本ブランド、カナコ サカイ
“買い物は投票”という言葉が定着して久しいですが、“買い物は推し活”でもありますよね。デザイナーの哲学やブランドの姿勢に感銘を受けて、そこで服を買う。私にとって最近の推し活は、カナコ サカイの2024年春夏コレクションを買うことでした。昨年Rakuten Fashion Week TOKYOのオープニングを飾った、ブランド初となるショー。「着る人が自由に選んで、手に取ってほしい」というメッセージと、ブランドスタート時から大切にしてきた日本の伝統的なものづくりへのリスペクトに心が動き、春はカナコ サカイを着ようと決めたのでした。そして私が選んだのは、藍染めのシャツ。既にブランドの定番となりつつある立体的なフォルムが美しいシャツを、天然の藍で丁寧に染め上げたアイテムです。ウエストはぐっとシェイプされていて、袖は少しボリュームあるシルエット、さらに下のボタン2つはあえて留めないで着る仕様。ぱっと目を引く手染めの風合いはもちろん、ベースとなるシャツそのものも、一見シンプルに見えて個性が際立っているところに惹かれました。
日本のクラフトマンシップを堪能できる1枚
国内の伝統技術に焦点を当てるクリエーションでも注目を集めるカナコ サカイ。このシャツは“群雲絞り(むらくもしぼり)”という技法を採用し、名前の通り柄が筋雲のように見えて、空を映したようなルックスです。徳島県にアトリエを構えるWatanabe’sで手作業で染められているため、一枚一枚表情が異なり、ユニークピースのよう。手が届きやすいプライスではないですが、生産背景を知ると納得の価格。心惹かれたブランドと日本の伝統文化を守るアトリエを応援する気持ちで購入しました。
間近でみると手仕事のぬくもりが感じられて、モードなフォルムとのギャップも何だか愛おしい一枚。そして深いブルーで目を引く存在感がありつつも、スタイリングしやすいのも魅力です。ブルーと白で構成されているので、ベーシックカラーには間違いなく似合うんですよね。手持ちのスタンダードなボトムに羽織るだけでスタイリングが完成する頼もしさもあり、長く大切に着ていきたいなと思っています。
ちょうど先日発売されたSPUR5月号にはデザイナーのサカイカナコさんが登場。先月から本誌でスタートした武田砂鉄さんの連載『その服、伝わっていますか?』のゲストにお招きしていて、そのルーツやモノづくりへのこだわりを知ることができます。ますますカナコ サカイを推したくなる記事なので、そちらもぜひご一読ください。
ワードローブの中心はデニムとメンズのシャツ。『スターウォーズ』シリーズに出てくるイウォークに似た犬と暮らしています。