一体このグラスに何が起こったのか? スウェーデンのアーティストによるシャンパングラス 以前この記事で紹介した、Gunilla Kihlgren(グニラ・キルグレン)によるシャンパングラス。それはそれは気に入っていました。まるで水でできたようなグラスを棚やテーブルに並べてはにやけていたものです。実はSMALL GOOD THINGSにアップした直後、悲劇は起きました。 ドンッ……! ルンバの悲劇 虚しくも折れたステム ルンバがいつも通りご機嫌にリビングを掃除していた日曜日。ステンレスラックにルンバがぶつかり、たまたまそのラックに並べていたシャンパングラスが「ドンッ……!」という音を立てて床に落ち、「バリーン!」細いステムの部分が割れてしまったのです。私は半狂乱になるのをおさえながら、「落ち着いて、落ち着いて」と言い聞かせて割れた破片をテーブルの上に救出しました。すごく気に入っていたし、何より買ったばかりだったため悲しくて悲しくて5分間ほど、脱力して椅子に腰掛け、空を見つめる時間が続きました。しかしです。何か策はあるはず。そこで怒涛のGooglingが始まります。「ステム グラス 割れた」「グラス 修理」などさまざまなキーワードを打ち込んで検索。そうして見つけた3社に、すぐさま割れたグラスの惨状を添付してメールを送りました。すると2時間後、早速「金継ぎ工房八木」さんからお電話が来ます。「私のグラス、治りますか……」とドキドキしながら尋ねると、「このまま少し割れた部分をカットしてくっつけても、もともとが細く弱いつくりであるため、またすぐ割れてしまう可能性が高いです。提案なのですが、ステムをかなり短くして、アイスクリームグラスのようなものに変えるのはどうでしょう?そのほうがもっと遠慮なく使用できるようになると思いますよ」とのこと。デザイン的にはあのアンバランスで細いステムが美しかったから、元通り復活しないのは悲しいけれど、長い目で見れば頑丈なつくりにしたほうがいいに決まってます。「ぜひお願いします!」ということで、グラスを石川県の八木さんの工房にお送りしました。「1ヶ月ほどかかります」ということでしたが、完成まで結局2ヶ月半ほどかかりました。リペアは気長に待つ姿勢が大切なんですね。 こちらが生まれ変わったグラス ステムが短くなり、アイスクリームグラスにリフォーム そうして2ヶ月半後に届いたグラスがこちら。結果、大満足の仕上がりです!なぜってデザインのまとう雰囲気はそのままに、より実用的にそして丈夫になって帰ってきたからです。夏の夜にアイスクリームを食べるのが日課なので、ここに冷えたバニラアイスクリームをこんもりと盛りつけて、冷やしたシルバースプーンを添えて……と想像するだけで楽しい。継ぎ目もまったく見えない仕上がりです。 友達のように並んだ二つのグラス 修理費用は¥9,000+石川県の工房へ送付する送料でした 右側はもともとの長さを保ったシャンパングラス。こうして並べると背丈が違う友達みたいでかわいいですね。修理費用は¥9,000でした。 素晴らしいクラフトマンシップでグラスに新たな命を吹き込んでくださった八木さんには大感謝です。この工房のメインのお仕事は金継ぎのようですが、あらゆる器のクリエイティブな修理を受け付けています。もし家の中に、割れたままどうしていいかわからず眠っている器があったら、ぜひこちらのウェブサイト「金継ぎ工房 八木」からチェックして相談してみてください。壊れても直して大切に長く使う。これこそベーシックにして最強な、日本が昔から大切にしてきたサステナブルの精神ですよね。 スモールグッドシングス 毎日をうれしくするアートなシャンパングラスは【Gunilla Kihlgren(グニラ・キルグレン)】 - スモールグッドシングス - ファッション | SPUR カルチャートピックス 捨てずに、長く使うための駆け込み寺。リペアの天才はここにいる! - カルチャートピックス | SPUR