朝ドラ【ばけばけ】スタート記念! 小泉八雲のクレオール料理レシピ、つくってみた

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』がスタート! 小泉セツと小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の夫婦をモデルにした開国まもない明治の頃の物語、ヒロインを演じるは『べいびーわるきゅーれ』シリーズでファンになった高石あかりさんということもあって、放映前から楽しみにしていました。

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』がスタート! 小泉セツと小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の夫婦をモデルにした開国まもない明治の頃の物語、ヒロインを演じるは『べいびーわるきゅーれ』シリーズでファンになった高石あかりさんということもあって、放映前から楽しみにしていました。

小泉八雲 ラフカディオ・ハーン ばけばけ 朝ドラ 書籍 本棚

我が家の小泉八雲/ラフカディオ・ハーン棚。面陳した円城塔訳『怪談』は、ハーンの英語“原文“のムードを伝える画期的な翻訳です。ハーンをモデルにしたパルプフィクション的創作活劇『妖怪処刑人 小泉ハーン』も珍品(笑)面白かったですよ。

実を申せば、私、子どもの頃からのハーン/八雲ファン。「耳なし芳一」「雪女」など、妻のセツ(小泉節)による口承物語を彼が英語でまとめた『怪談-KWAIDAN』が有名で、また、セツが八雲との日々を書き表した小泉節『思い出の記』から伝わる彼の人物像も非常に魅力的です。

ハーンが日本を訪れ、セツと結婚して小泉八雲と名乗り過ごしたのは、晩年の14年間のできごとでした。それまでの彼は、世界を漂泊した文筆家だったのです。

朝ドラ『ばけばけ』のモデル、小泉八雲の“クレオール料理本”

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(右)小泉八雲(ラフカディオ・ハーン) 著/ 河島弘美 監修 /鈴木あかね 訳『小泉八雲のレシピ帖』(CBメディアハウス)(左)こちらは定本となった『ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』、1998年の初版です

ラフカディオ・ハーンは1850年、ギリシア人の母とアイルランド軍人の父のもと、ギリシアのイオニア諸島のひとつ、レフカダ島に生まれました。母と生別してパリ、ダブリンへと渡り、やがてジャーナリストとしてアメリカ合衆国へ。シンシナティとニューオリンズを経て、カリブ海に浮かぶ仏領西インド諸島マルティニークに滞在し、2年間を過ごしました。世界地図を横断するような旅の半生!

ニューオリンズには、ルイジアナ地方に入植したフランス人、スペイン人、そして大西洋奴隷貿易で連れてこられたアフリカの人々が混血して「クレオール文化」が生まれました。物語や音楽だけでなく料理もまた、多くのルーツを持つ文化が混淆し、日常に根づいたたまもの。ハーンはそこに惹かれ、地元の女性たちにレシピを取材して、生涯唯一の「料理本」を著したのです。

それが 河島弘美 監修 /鈴木あかね 訳『ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』。めっぽう面白くて長く愛読してきたのですが、このほど、待望の新装版が発売されました。『小泉八雲のレシピ帖』(CBメディアハウス)、おすすめです!

150年前のクレオール家庭料理レシピ「牡蠣入りオムレツ」、絶品でした

小泉八雲 ラフカディオ・ハーン ばけばけ 朝ドラ 小泉八雲のレシピ帖 牡蠣のオムレツ

“ハーン”が書き残したニューオリンズの牡蠣入りオムレツを、”八雲”が過ごした街、松江と日本海つながりということで、城崎ビール「カニビール」とともに。

原著の前書きに「新米の主婦」を対象にしたとある通り、掲載されたレシピは実用的でわかりやすく、経済的。本書にはレシピの間に、ハーンが生き生きとした筆致で書き残した、料理にまつわるクレオールのことわざなどのエッセイも。さあ、150年前のラ・キュイジーヌ・クレオール(クレオール料理)、早速つくってみましょう!

亀のさばき方
頭を切り落とし、血をきれいに抜く、胆嚢を壊さないようにして腹部の殻と甲羅を丁寧にはずす。(後略)

引用元:『ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』

だめだ! へるん先生(小泉八雲の愛称)、ハードルが高すぎるよ!
……と、すこぶるダイナミックな調理法もあるのですが(笑)、収録された400以上のレシピにはもっと手軽で身近なものも。

牡蠣入りオムレツ
鉢に卵を八〜一〇個割り入れ、よく泡立てたら、生クリーム一ジル、無塩バター大さじ一、刻みパセリ小さじ一、塩、こしょうを加える。ふっくらするまで再び泡立て、牡蠣一パイントをざく切りにして混ぜ入れる。(後略)
引用元:『ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』

ほらね、絶対美味しい! 10個の卵や1パイントの牡蠣は用意できなかったのと、牡蠣をざく切りにしなかったので、「クッション状にまとめる」という指示からは崩れちゃいましたが、簡単シンプルなオムレツができました。

レシピの書きっぷりを見るに、きっとラフカディオ・ハーンも料理好きの食いしん坊だったんじゃないかしら……と想像します。長い旅の果てに日本に流れつき、穏やかな家庭人として生涯を終えたハーン。彼の目と耳、舌、心に残るセツさんとの思い出は、どんなふうにドラマに描かれるのでしょうね。これからしばらく、毎朝が楽しみです。

今回紹介した本はこちら
『小泉八雲のレシピ帖』 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン) 著/ 河島弘美 監修 /鈴木あかね 訳

商品名

『小泉八雲のレシピ帖』 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン) 著/ 河島弘美 監修 /鈴木あかね 訳

ブランド

CEメディアハウス

価格

¥1,980

小泉八雲が来日前の20〜30代を過ごした150年前のニューオリンズで 主婦たちに教わった異国情緒あふれるメニュー400選。

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エディターKUBOTA

幾星霜をこえて編集部に出戻ってまいりました。活字を読むこと、脂と塩気、2匹の保護猫、平和と雑談を愛します。

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