森万里子さんが表現した 「ディオール レディ アート」のカバーイメージ
DIOR×Mariko Mori

森万里子さんが表現した
「ディオール レディ アート」

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DIOR×Mariko Mori

森万里子さんが表現した
「ディオール レディ アート」

長年愛されるアイコンバッグ、「レディ ディオール」。世界各国のアーティストとともに、唯一無二の逸品へ昇華する「ディオール レディ アート」プロジェクトが第8弾を迎えた。その中から、国際的に活躍する森万里子さんが手がけた、珠玉のピースをフィーチャー。

日本では11月24日からハウス オブ ディオール ギンザにて受注開始。

(上)神秘的なイメージは、八識の第八である「阿頼耶識」に着想を得ており、深層意識を連想させる。レンチキュラーの技術で、角度によって見え方が変化する。バッグ〈H20×W24×D12(実寸)〉¥1,300,000・(下)マイクロサイズの「レディ ディオール」を包む、時空間カプセルを表現。まるで虹色のシャボン玉をまとっているよう。バッグ〈外寸H19×W20.5×D12、内側のバッグH10.5×W12×D5.5(実寸)〉¥1,150,000/クリスチャン ディオール(ディオール)

撮影が行われたのは、森さんのニューヨークの自宅。リビングに設けられた茶室空間の奥には、自身の作品も並ぶ。

クリエーションを実用性に
落とし込むために

実際の制作過程としては、まず森さんがCGのデザイン画を提出し、カプセルの色見本やLEDの発光の色のデータなどをディオールのプロトタイプ担当者に渡し、見本を制作。3つのバッグの中でもっとも苦労したのが、カプセルに入れたバッグだった。色や開閉部の噛み合わせなどディテールの調整が難しく、当初は誰も制作できないかもしれない、という状況に。しかし、森さんがもっとも制作したかったものという熱量のもと、4、5回の試作とミーティングを重ねて完成へと漕ぎつけた。

「私はこれまで作品を創るときに、機能性を重視する必要がありませんでした。頭の中ではカプセルの中にバッグがある、とイメージができても、それが実際に使えるようにするためにどうするか? 物作りのプロの方は金具ならどんなものが使いやすいか、という細部まで試行錯誤を繰り返して、一番適した設計を追求するんですね。〝なるほど〟と感心しましたし、ディオールの職人の方たちが、本当に一つのものを宝物のように作っていくことを肌で感じられました」

コラボレーションのプロセスを体験して、ディテールまで徹底して試行錯誤する姿勢から、日本の蒔絵作りを思い起こしたそう。日本の職人と同じように、ハイブランドに息づく芸術性は職人の仕事の土台の上に成り立つと。

「ファッションに対して、タイムスパンが短いというイメージがありますよね。春が来たと思ったらすぐに秋が訪れるように、命が半年しかないように思えることもありました。ですが、その流れの速さを超越した、職人の皆さんの丁寧な手仕事が土台にあると感じられたことはうれしかったですね。アーティストは作品を作るときに永遠性を願うのです。職人の皆さんも同じで、だからこそ何十年の時を経ても作った品々が残っている。そういうスピリットで物作りをする姿勢は素敵ですし、アーティストと同じだと共感しました」

森さんは常に最新技術を作品に使うことで知られ、今回のバッグもテクノロジーを駆使している。それは「筆を使って描くよりも自分が見た世界に近づける」から。

「自分の感覚をどうやって鑑賞者と共有するか。より効果的に伝えるためには、今の時代の技術をアートのボキャブラリーとして使っていこうと考えています。現代はさまざまな表現方法があり、それは私たちに与えられたもの。それを使わない手はない。歴史的にアーティストはいつもその時代のベストな表現方法を選んできました。日本でも、神にはそのときの最高のものを捧げてきましたよね。だからこそ技術が発達し、文化が豊かに発展していった。それはアーティストとしての役割の一つであり、楽しみでもあります」

もり まりこ

1997年第47回ヴェネチア・ビエンナーレ優秀賞受賞。2007年から2011年まで世界主要美術館へ巡回した個展『ワンネス』は、ブラジル銀行文化センターでその年の世界最多入場者数を記録した現代美術展となる。ニューヨーク近代美術館、グッゲンハイム美術館などに作品が収蔵されている。

リボンのバッグは、バッグ本体が光る革新的なファブリックを採用。時間によってピンクや青、赤など美しく光る。リボンを配してメゾンのエレガンスを体現した。

バッグ〈H17×W21×D8.5(実寸)〉¥2,000,000/クリスチャン ディオール(ディオール)

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