ハンサムな彼女はのカバーイメージ
飯豊まりえ TOD’Sの新章をセレブレート

ハンサムな彼女は

SCROLL

飯豊まりえ TOD’Sの新章をセレブレート
ハンサムな彼女は

新クリエイティブ・ディレクターのマッテオ・タンブリーニが手がけるファーストコレクションがついにお目見え。ミニマリズムとリアリティが同居するラグジュアリーな日常服を、俳優の飯豊まりえがまとう。マッテオのインタビューとともに、新生トッズの魅力に迫る。

メゾンが誇る、極上の
レザーを全身で堪能する

セミマット仕上げのラムレザーを用いたドレス。薄くしなやかなため、自然とボディラインになじむ。「レザーとは思えない着心地のよさに驚きました。品格のある肌見せをかなえる、V字に開いたバックスタイルも素敵です」。携えたのは新作の「トッズ ダルセナバッグ」。卓越したクラフツマンシップで、ステッチがほとんど露出しないように縫製。要素を排し、上質なゴートとカーフそれぞれの質感を際立たせた。

ドレス¥663,300・ロングブーツ〈ヒール8.5㎝〉¥289,300・バッグ〈H18×W37×D21〉¥625,900/トッズ・ジャパン(トッズ)

OFFICIAL SITE

タフなウェアをシックに導く
グレーとネイビー

ハリのあるコットンで仕立てた、ワークテイストのビッグジャケットを主役に。襟の内側に濃紺のレザーを配し、コントラストをきかせた。足もとにはあえてレディなミュールを。モカシンシューズを再解釈したアッパーで、華奢なメタルパーツが上品に輝く。ポーチタイプの「トッズ ダルセナ バッグ」は、底から開口部につながるサイドのレザーベルトが象徴的なディテール。大胆に抱えるスタイルが新生トッズ流だ。

ジャケット¥424,600・スカート¥152,900・靴〈ヒール7㎝〉¥152,900・バッグ(サイズ変更あり)¥355,300/トッズ・ジャパン(トッズ)

OFFICIAL SITE

仕立てのよさが際立つ
シャープなシルエット

「一番好きなルックです。肉厚なニットジレと、スリークなコットンポプリンシャツの質感の対比が印象的」。ベーシックアイテムのスタイリングも、ビッグショルダーやロング丈のパンツによって新鮮な印象に。手にしたのは、人気の「ディーアイ バッグ」を脱構築的にアップデートした「スウィング」。ハンドルとストラップのどちらを使うかで、バッグのフロントが変化するユニークなデザインだ。

シャツ¥146,300・ニットジレ¥168,300・パンツ¥185,900・靴〈ヒール7㎝〉¥152,900・バッグ〈H29×W42×D18〉¥457,600/トッズ・ジャパン(トッズ)

OFFICIAL SITE

Marie Iitoyo
1998年1月5日、千葉県生まれ。モデル、俳優。2008年デビュー。現在は、ファッション雑誌『Oggi』のレギュラーモデルを務めている。2023年、15周年記念の写真集『かの日、』(小学館)を発売。今年は映画やドラマのほか、舞台『ハムレットQ1』にも出演。活躍の場を広げ続けている。

2024-’25FW Collection
左:イリーナ・シェイクは濃紺のレザートレンチに折り返しがアクセントになっているスラックスを着用し、知的な新生トッズ・ウーマンを体現
右:手には今季最注目のバッグ「ディーアイ バッグ スウィング」が。持ち方で形が変わるユニークなデザイン

ブランドのエッセンスを探り、そぎ落とすデザインワーク

どのように今回のコレクションを生み出したのか尋ねてみた。

「まずブランドのエッセンス、つまり本質を探ったんだ。飾ってつけ加えていくデザインとは正反対。本質的要素を浮き彫りにするために、そぎ落とすことを自然に意識していた。今回は、就任からショーまでの期間が実質1カ月半と短く、時間的制約もあったけれど、今後トッズをデザインしていく上で、すべての基礎となるものが出来上がったと思う」と説明する。

「“エッセンシャル”とは物事の中核になるものを見出し、それを解釈して表現すること。さらにその時々の要素、魅力的なスパイスや物語を加えたものが、僕が提案したいワードローブなんだ。今後もこの“エッセンシャル”を基に、シーズンごとに層を重ねていくイメージを思い浮かべている」

デビューコレクションで表現したかったことは「イタリアらしさ、そしてミラノの街のダイナミズム。会場に操車場を選んだのも、都会であるミラノの日常の活力を体現した、動きのある場所だから」とマッテオ。

トップモデルのルル・テニーもスタンバイ

イメージした人物像は、「ミラノの日常に存在し、街ですれ違っていそうな女性。優雅で軽やかに街を歩き、世界を飛び回る。フォーマルなスタイルでも、飾り立てずにノンシャランなムードを好み、さりげないおしゃれが、特別な人だという印象を醸し出す。そんな女性を思い描いた。ショーのモデルやヘア&メイクアップチームにも、極力ナチュラルにしてほしいとオーダーしたんだ」。クリエーションのムードボードには、ユマ・サーマン、ロミー・シュナイダー、ピナ・バウシュ、キム・ベイシンガーらの写真があった。

大きく折り返したパンツにダブルに重ねたメンズシャツやシングルブレストジャケット、車のフロントグリルをかたどったベルトやソフトなレザーのさりげないドレープが美しいドレスなどがランウェイに登場。マッテオの一番のお気に入りは、オーバーサイズの白いトレンチにデニム、フリンジが揺れる“ヨーキー”バージョンの赤いゴンミーニをコーディネートしたルックだ。

「動きのダイナミズムを表現するためのテーラリングを考えた。肩はしっかりと仕立て、ボディ部分はゆったりとソフトなシルエットで表現した。クラシックでベーシックなワードローブに見えるけれども、ディテールやシルエットにさりげないひねりを加えることで、そのアイテムがよりパーソナルで、親密なものになるんだ」

右:路面電車の操車場に設置されたランウェイ。テーマである「トッズ・イン・モーション」を体現するようなフィナーレは拍手喝采に包まれた
左:マッテオが特に気に入っているというのが、左のトレンチコートのルック。一見ベーシックでありながら、足もとで遊び心を表現

バッグは、トッズのアイコンバッグを再解釈した「ディーアイ バッグ スウィング」。ハンドルの位置を90度転換した、シンプルなのに今まで誰も思いつかなかった発想だ。

豊富な経験はあれど、クリエイティブ・ディレクターとしては初。ショーの間は何を考えていたのだろう。

「始まる前は、ショーの間、すごく感激するだろうなあと想像していたのに、実際は空っぽな人に(笑)。禅の境地なんていうものじゃなくて、ただの空っぽ(笑)。フィナーレの瞬間は、ランウェイの長さと照明の光がまるで天国に導いてくれているようで、やっと感動が押し寄せてきたんだ。本当に素晴らしい経験だった」

9月に開催される2025年春夏コレクションについて「SPURにだけ特別に、ちょっとだけ秘密を教えて!」とお願いしてみた。

「今回構築した基礎を継続しながら、新たな層を重ね、もっとクラフツマンシップと素材へのこだわりを深めたコレクションになる予定。楽しみにしていて!」との回答が。はぐらかされたような気もするが、よりパワーアップしそうな予感も。エッセンシャルな中に新しさを表現することは知的で難しい。ましてやそこにひとひねりしたワクワクするファンタジーも盛り込む技も。SPURは期待しています!

多忙な日々だが、「少しでも時間ができると旅に出る。実家のあるペーザロの田舎でいい空気を吸って酸素補充をしたり、パートナーの故郷バルセロナで気分転換したり。日本は大好きな国。三宅一生、山本耀司は影響を受けたデザイナー。実用的なデザインなのに、ファンタジーがある。服の構造への探求も素晴らしい。年内に日本にも行く予定だよ。今から楽しみなんだ!」

Matteo Tamburini / トッズ クリエイティブ・ディレクター
マッテオ・タンブリーニ●1982年生まれ。ファッションデザインを学んだ後、複数のブランドで経験を積み、ボッテガ・ヴェネタのヘッドデザイナーを経て、2023年12月に現職。レザーへのこだわりが半端ない。好きな映画はミヒャエル・ハネケ監督『ピアニスト』(’01)。愛犬はダックスフントのパウ君。