
AURALEE
オーラリーの誠実さ。
日常に寄り添い、美しく彩る服
SCROLL
日本発、世界で輝く15のブランドストーリー
AURALEE
オーラリーの誠実さ。
日常に寄り添い、美しく彩る服
素材にこだわったタイムレスなアイテムを真摯に作り続けているオーラリー。ブランド設立10周年を迎え、今や世界中から注目を集める存在となっている。貫いてきた信念、パリでの挑戦、今後について、デザイナーの岩井良太に話を聞いた。

パリに発表の場を移しても
信念を貫き通す
ギンガムチェックのシャツは、カシミア100%。ランウェイのファーストルックを飾ったアイテムで、同素材のパンツを合わせた姿はパジャマのようにも見えた。「今季、軽く織り上げることで春夏でも着用できるようにしたカシミアの素材を多く用いています。これはカシミアのネルシャツみたいなイメージです」。パリに発表の場を移した時は、「シンプル過ぎて特徴がわかりづらい」「ロゴ入りのアイテムやシグニチャーデザインは展開しないのか」と言われることも。しかし、「“良い”と評価してくださる海外のバイヤーやジャーナリストもいたし、これが自分たちのスタイルなのでこのままやろう」とスタンスは何も変えなかった。そうして6年を経て、ようやく少しずつショーの観客が増えている実感がある。テーマを掲げるようになってメッセージが明確になったことも功を奏してか、群雄割拠のパリ・ファッション・ウィークで存在感を示すように。しかし、急に規模を大きくしようとするわけでもなく、岩井さんの姿勢はやっぱり変わらない。「他のブランドに比べると確かに“普通”かもしれません。でも、そういう存在がひとつくらいあってもいいんじゃないかと思っています」。
モンゴル産のカシミアを100%使用したエターミンを用いている。ソフトな肌触りで、ゆったりとしたシルエット。シャツ¥99,000/オーラリー

正直なものづくりは変えずに
イメージ作りにも注力
今季は主に厚手のチノの素材にフォーカスした。このワイドパンツは「上質な超⻑綿の糸を使用した高密度のチノクロスを用いていて、洗い加工を施してちょっとくったりさせている」という。こだわりの素材に魅了されるファンは多いが、それは細部まで手を抜くことなく、無理をせず、自分たちに合ったやり方を貫いているから。岩井さんは、そうすることで「ものに対して正直でありたい」と語る。これまで壮大な夢を描いたことはない。常に「先シーズンより、少しでも良くしたい」という思いで取り組んできたが、今は上質さや心地よさに加えて、イメージ作りにも注力したいと考え始めている。「製品の質を重視したものづくりは変えませんが、同じようなデザインや生地は他にもあるかもしれないけど、“何となくいいな”、“気持ちが高揚するな”という思いからオーラリーを手に取ってもらいたい。そのためにも、ブランドの世界観を丁寧に作っていきたいと思っています。ブランドから発信する写真ひとつとっても、ブランドの哲学を感じてもらえるよう、まだまだ成長しなければなりません」。
経糸にエジプトの超⻑綿「フィンクス コットン」を3本撚り合わせた糸を使用した、チノクロスのワイドパンツ。何度も揉み洗いを行い、自然な毛羽立ちを生み出している。パンツ¥44,000/オーラリー