アンダーカバーが描く幻想的な美学のカバーイメージ
日本発、世界で輝く15のブランドストーリー
UNDERCOVER

アンダーカバーが描く
幻想的な美学

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日本発、世界で輝く15のブランドストーリー
UNDERCOVER

アンダーカバーが描く幻想的な美学

パンクの精神が息づくクリエーションで日本のファッションラバーを熱狂させ、やがて世界で名を馳せたアンダーカバー。その35年にわたる軌跡を振り返るとともに、学生の頃からブランドを見つめ続けてきたスタイリストの杉浦加那子が最新コレクションの魅力を語る。

フーディ¥154,000/アンダーカバー

まっすぐに伝わる
パンクの精神

杉浦さんがアンダーカバーに惹かれるのは、クリエーションにカルチャーやファンタジーを感じるから。「元々パンクカルチャーが大好きでしたし、“毒のあるかわいらしさ”という高橋さんならではのひねりを効かせた表現が自分にフィットするんです」。また、その「振り切った姿勢」も好きだという。「いつも本気度が伝わってきます。トップクリエイターであっても一貫した姿勢で、描きたい世界観を表現するためにとことんこだわり尽くす。私も見習わなければならないな、と思います」。次に選んだのはファスナーとコルセットのディテールが融合したフーディ。「パンキッシュなデザインにフェミニンなシルエットを組み合わせた高橋さんらしい表現。過剰なほどの装飾で、どこまでもストレートに突き進んでいる感じがして気持ちがいいです。白いシャツに羽織って太めのスラックスを合わせたらかっこいいかも」。

ファスナーの開閉によってシルエットを調整可能。裾はフリルのようなデザインになっている。フーディ¥154,000/アンダーカバー

パンツ¥99,000/アンダーカバー

審美眼が光る
アートとの融合

アートとの融合もアンダーカバーのシグネチャー。杉浦さんは写真家のシンディ・シャーマン(2020年春夏コレクション)やドイツ出身の画家ネオ・ラオホ(2024年春夏コレクション)の作品を用いたコレクションが印象深いという。2024年春夏コレクションにはデザイナー自身が描いた油絵も登場し話題となった。「2009年に発表されたぬいぐるみクリーチャー“GRACE”にも驚かされましたが、最近では油絵も手がけられていて、すごいエネルギーだな、と感嘆します。絵画や造形、写真など、あらゆるジャンルに取り組んでいる一流のアーティストのような気質が高橋さんにもきっとあるんだと思います」。今季はメンズコレクションに引き続き、イタリアのペインター、ロバート・ボシシオの作品をプリント。「マーク・ロスコに代表される、“カラーフィールド・ペインティング”っぽい作風ですよね。アンダーカバーが取り上げるアーティストはいつも興味深いですし、世界観に自然と溶け込んでいると思います」。そして、このパンツについてはディテールにも注目している。「実際に展示会で服を見ると、ルックで受けた印象ががらっと変わったりすることがあります。このパンツも、もちろん主役はアートワークですが、ニットとリネンの切り替えがあり、ディテールにこだわっているんです。私ならエレガントなジャケットや革靴を合わせたいですね」。

グリーンのウエスト部分はシルクカシミアのニット。リネンとの切り替え部分はニードルパンチ手法によって裏側からシルク綿を出し、素材やカラーにぼかしの効果を生み出している。パンツ¥99,000/アンダーカバー